半沢直樹最終回「仕事なんてなくなっても、生きていればなんとかなる」半沢花の言葉に魂が震えた

今井 模子 プロフィール

二人の異なる「正義」

こうして辿りついた、タスクフォースと東京中央銀行の合同会見の場。いざ決戦の時。

報道陣が何十人と集まり、カメラワークもまるで現実かのような臨場感……私たち視聴者も、このドラマを見守って今日集まった“記者”の一人なのかもれしれません。

次々と畳み掛けられる不正の暴露に「記憶にありません」で逃げようとする箕部。しかし「”記憶にない”で済むのは国会だけの話です」と半沢は痛烈なカウンターをお見舞い。途中、大和田取締役(香川照之)が決定的な物証を持って登場し、半沢に「はい、これ“1000倍”」と手渡すシーンにはつい笑ってしまいましたが、終盤では、今コロナ禍で奮闘する全ての人を想起させるような名台詞も。

「今、この国は大きな危機に見舞われています。また誰もが笑顔になれるような明るい未来がくるはずだと信じているからだ。謝ってください。この国で懸命に生きる、全ての人に、心の底から詫びてください!」ーー熱く、力強く、そして切実な堺さんの台詞が響きました。

 

かくして無事『1000倍返し』が決まって一件落着かと思いきや、半沢と大和田のバトルだけは、収束する気配がありません。

7年前の第1シーズンで描かれていた、半沢の父の経営するネジ工場に対し大和田が融資を断った(そのあと父が自死)当時の因縁が蒸し返されます。これについて大和田は「あのことは私も悪かったと思っている。だが、融資は打ち切って当然だった。あの決断はバンカーとしての私の正義だ!」と主張。半沢はまた睨み返して、バチバチの雰囲気ーー。

180度ほど異なる正義を持つ、超一流バンカーの二人。大和田も半沢が「大キライ」だし、半沢も大和田への恨みは消えず、相容れないという認識はそのまま。そんな二人の今シーズンのラストは、大和田の手で半沢の退職願が粉々にされ、紙吹雪になって二人のもとに舞い散るという美しいワンシーンとなって描かれました。

放送後のSNSでは、早速「半沢ロス」がトレンドイン。濃厚なドラマだったからこそ一抹の寂しさもありますが、この3ヶ月、半沢の愛すべきキャラクター達には多くの活力と勇気をもらいました。またいつか次作があることに期待して、私たちは一旦、幕間としておきましょう。