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香川県の「ゲーム依存症条例」、問題だらけなのに成立してしまった社会的背景

「報道」と「研究」の側面から考える

問題だらけの条例

インターネットやビデオゲーム(以下、ゲームと略記)の過剰な使用を「依存症」とみなし、その予防に取り組む日本初の条例が3月18日、香川県県議会で可決し、4月1日に施行された。その名も「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」(以下、ネット・ゲーム条例)である*1

コロナ禍のさなかにあっても、この条例についてはたびたびメディアに取り上げられている。条例が憲法に反するとして、高松市在住の高校生と保護者が香川県に対して訴訟の準備を進めていることが5月14日、KSB瀬戸内海放送(ANN)で報じられ、5月25日には、香川県弁護士会が条例の即時削除を求める会長声明を打ち出すなど、大きな波紋を広げた。

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このあと見るように、同条例は危ういと筆者は考えており、同様に考える人は少なくない。にもかかわらず、なぜすんなりと条例は議会を通過してしまったのか。その背景には、この数年にわたるメディアの報道のあり方、そしてゲーム依存をめぐる研究がある。本稿では、その経緯を確認しておきたい。

まずは同条例のどのような点が批判されたのかを見ていこう。

このネット・ゲーム条例の大きな特徴は、依存を予防するために、18歳未満に対してスマホやゲームの利用時間を制限するよう保護者に努力義務を設けている点だ。罰則はないものの、18歳未満のゲーム利用は平日1日60分、休日90分まで、スマホ等の使用については、家族との連絡や学習目的以外は義務教育修了前、つまり中学生までの子どもが21時まで、それ以外の子どもが22時までと記された。

条例に対しては即座に批判が噴出した。同条例に削除請求を出した香川県弁護士会の声明によると、削除請求は、子どもと保護者の自己決定権の侵害、教育内容と方法に公権力が介入することの違憲性、ネット・ゲーム依存症の「立法事実」(法律を制定する前提となる事実)の欠如などを根拠にしている