日本でこの夏以降、女性の自殺が急増しているというニュースが、大きな波紋を呼んだ。
9月21日ごろのツイッターのタイムラインでは、「女性の自殺急増」がトレンドワードとなり、多くの人が問題意識を強めているようだった。
いわゆる「コロナショック」が経済に甚大な悪影響を及ぼし、またその悪影響は自殺率にも影響する可能性がある――との見通しは、私も日本で新型コロナウイルスの感染が拡大しはじめた4月段階で警鐘を鳴らしていた。これは「命 vs. 経済」ではなく「命 vs. 命」の衝突を招く、つまり最終的には感染症による死者と経済的困窮による死者のトレードオフ構造を生み出すことになってしまうと。
当時この主張に同意はあまり集まらなかったが、残念ながらそれが現実のものとなりつつあるようだ。
「コロナショック」でまっさきに経済的な大打撃を受けたセクションが、アパレルや観光・旅行業など、比較的女性の就業者数が多い業種であったこと、またさまざまな業種で行われた雇止めやリストラにより、女性により多い非正規雇用者の仕事が失われたこと、さらには経済的に窮した女性の一時的な受け皿の側面を担っていた、いわゆる「夜の街」も、国や自治体が主導した外出自粛・ステイホームの呼びかけによって低迷したことなどが折り重なった結果といえるだろう。