東日本の架空の港町・福音浜で、自らの傷に向き合いながら日々を過ごす人々を描いた『柴ばあと豆柴太』。お弁当屋さんを経営する柴ばあの作るおいしい料理も、話題のひとつだ。
コミックスは「気づくと泣けて、そのうちおなかがすいてくる」という感想が寄せられている。
京都出身の著者・ヤマモトヨウコ氏に舞台をお弁当屋さんにした理由をきいた。
「震災を舞台にするけれど、その前もそのあともきちんと日常を過ごしていたひとたちに、ある日突然、大きな災害が訪れることがある。そこで途切れてしまった日常があったとしても、みんなでご飯を食べていれば、また前に向ける、日常に戻れるというのを描きたいな……と思いました。
自分が描いていて、ご飯をみんなで食べているシーンを描くとホッとするというのもあるのですが……。
東北の方々が当たり前と思っている食べ物も、転勤してきた自分にはびっくりするものがいっぱいあって、そのおいしさを伝えたくて、柴ばあをお弁当屋さんにしたところもあります!」
今回のストーリーは、ネギの収穫の手伝いでちやほやされず、すねてしまった豆柴太が隠れた小屋が火事になるというストーリーの後編。震災で、人々を助けきれなかったことを心の傷にしている消防士・阿子島も登場する。
著者のヤマモト氏は言う。
「コミックス発売では、東北の書店さんがたくさんの応援をしてくれました。東北の温かさをあらためて感じられて、頑張らなくちゃいけない……という気持ちに改めてなっています。
この話で出てくるネギは、東北の名産です。東北のネギはとてもみずみずしくて、太くしっかりしたものが多いです。甘くしっとりした味は、鍋にいれても、焼いても本当においしいです!
今回のストーリーでは、このネギのもつたくましさが、東北の持つ力に近い気がして、食材として、テーマにさせてもらいました。
ぜひぜひこの話を読んで、一度東北のネギを食べたい……と思ってもらえたらうれしいです!」
次回更新は、10月8日。震災を経験した学生たちを、豆柴太が応援する!
2011年3月……ボクと柴ばあは出会った。東日本大震災で家族をなくしたひとりと一匹が
よりそうながら暮らす東北のある港町。お弁当屋さんを営む柴ばあと、小さな豆柴犬の二人暮らしをめぐる四季の物語。東北の温かさと、せつなさが伝わるストーリーと4ページのそれぞれの心象風景できりとった、新しい形のコミックス。たのしい4コマをはじめとした描きおろしもいっぱい!
ヤマモト ヨウコ
京都府出身。現在、転勤で仙台在住。初連載に緊張中。豆柴太をよろしくお願いします! https://twitter.com/YY0905