TBSの苦悩…三浦春馬さんの遺作「おカネの切れ目が恋のはじまり」放送決断で問われた是非

高堀 冬彦 プロフィール

コロナ禍の過酷な状況下で

『おカネの切れ目が恋のはじまり』のホームページの「お知らせ」欄には次の一文がある。

「本日よりカネ恋の放送が始まります。放送に先立ちまして当番組の出演者、三浦春馬さんが7月18日、永眠されました。スタッフ一人ひとりにいつも気さくに話しかけてくれた愛くるしい笑顔、役柄を突き詰める真摯な姿勢、誰からも愛された春馬さんの人柄を偲び、謹んで哀悼の意を表します」

放送でも10月6日放送予定の最終回に追悼メッセージが入るに違いない。『半沢直樹』『わたしの家政夫ナギサさん』『MIU404』の成功により、TBSはあらためてドラマ制作力の高さを示したが、今度は新型コロナ禍という過酷な状況下でもドラマを支え続けている役者たちへの愛情を是が非でも示してほしい。

役者は所属事務所が守るものだとされているが、職場はあくまで撮影現場なのだ。NHK職員食堂等で食事をする役者もいる。一方、ほとんど事務所に顔を出さない役者は多い。TBSが三浦さんに送るメッセージはほかの役者も見逃さないはずだ。それは自分たちの職場が役者たちに抱く心情を表すからである。

 

SNS上に目を移すと、このドラマの視聴者の声が並んでいる。「(三浦さんは)輝いている」「(三浦さんが)テレビで見られているのが嬉しい」。だが、一方で「辛い」「切ない」といった悲痛な言葉も多い。前出のドラマプロデューサーも「とてもじゃないが、冷静には観られない」と語っている。

観る側は役者本人と役柄を重ね合わせてドラマや映画に目を向けている。2つの存在を完全に切り離すのは不可能だ。このドラマでの三浦さんの演技を客観的かつ正当に評するのも極めて難しいだろう。

個人的にも慶太の行く末より、三浦さんがどんな気持ちで演じていたのかが気になってしまう。ラブコメなのに胸を締め付けられる。

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