個性的な外観のクルマが街中を走っていると、思わず目を向けてしまう。例えば、アニメーション映画の傑作『ルパン三世 カリオストロの城』に登場するイタ車のフィアット500。丸目のヘッドライト、全長は短くて車高は高いというこぢんまりとしたボディーがなんとも愛らしいクルマだ。
26日発売の『ベストカー』(10月26日号)では、「クセが強いクルマはいかが?」と題し、そんな個性的なオススメの15車を特集している。見た目のデザインだけでなく、操作性や乗り味も独特なクルマもセレクト。
近年、日本で売れているのは燃費がよくて安全装備が充実したクルマがほとんど。そんな今、そういった売れ筋や定番にはない、ちょっと「クセが強い」くらいの個性が魅力的なクルマとは? そのなかでもお薦めの「クセ強グルマ」、新車10選と中古車5選を、モータージャーナリストの岡本幸一郎さんが、その魅力を読み解く。
よくいえば「個性」、悪くいえば「違和感」。「クセ」といえばラテン系のお家芸という印象が強いが、最近は一概にそうでもなくなったものの、それでもラテン系にかぎらず欧州のコンパクトカーにはいまだにクセのあるクルマが少なくない。
筆頭はフィアット500のツインエア。このクルマ、見た目からしてタダモノではないけど、乗っても21世紀のクルマとは思えない感覚。
デュアロジック(5連AMT)にクセがあるのは言うまでもないとして、2気筒エンジンのツインエアのあの「ボー」という音と独特の加速もひとクセある。さらにはショートホイールベースで重心が高いから操縦性もおぼつかないけど、これらはすべてチンクの“味”として許せてしまう。
逆に、似たようなクセなのに許せないのがVW up!だ。AGS(5速AMT)は出た当初よりはよくなったとはいえ、依然としてクセモノ。誰もVWにこんな味は求めてない。それはそうだ。現に最初はけっこう売れたのにすぐに中古車市場に流れたもんね。
でもクルマとしての完成度はさすがはVWだし、シンプルな“素”のよさがある。ミッションくらい大目に見てあげられる人へ。もしくはMTのGTIもあることだし。