猫の飼育頭数が犬を上回った

猫の飼育頭数が犬を上回った、というニュース文献1をご存知だろうか。1994年の調査開始以来、2017年に初めて飼い猫の数が飼い犬を抜いたというのだ。
2019年時点の調査文献2においても、猫977万頭、犬879万頭と、猫の飼育頭数の方が多い。また、犬の飼育頭数は減り続けている一方で、猫の飼育頭数はゆるやかに増加傾向にある。住環境や生活スタイルの関係で、毎日散歩が必要な犬は飼えなくても、猫なら、と飼育を考える人は今後も増えていくことが予想される。

しかし、猫を飼っている方の中には、他の家でどんなふうに猫が飼われているのか全く知らない人も多いのではないだろうか。犬であれば散歩やドッグランなどで他の犬の飼い主に会い、情報交換することができるが、キャットオーナーの場合そうはいかない。いろいろな悩みがあっても、気軽に相談できる相手がいない方も多いだろう。そしてSNSではたいてい良いことしか書かないので、「うちの猫だけどうしてこうなんだろう」と密かに悩んでいる方も多いのではないだろうか。
そこで今回は、猫で特にトラブルが多いトイレおよび爪とぎ問題について取り上げたいと思う。

獣医師で作家の片川優子さん連載「ペットと生きるために大切なこと」。自身も犬と猫を飼っている片川さんに獣医師と飼い主の立場からペットと幸せに暮らすための知識を伝えてもらっている。今回のテーマは悩む飼い主の方も多い「猫のトイレと爪とぎ問題」。困っていた猫の行動には、もしかしたら別の理由があるのかもしれない――。
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理由はマーキングか、トイレの問題か

飼っている猫がトイレ以外の場所で排泄をしてしまう、というトイレトラブルがある場合、まず初めにしなければならないのは、それがマーキングなのかトイレの問題なのかを見極めることだ。

マーキングの場合は少量のおしっこをしてしまう、垂直方向におしっこを飛ばすなどの特徴がある。例えば、未避妊のメスで、春や秋に特徴的な鳴き声とともにあちこちに少量ずつおしっこをするようになったらマーキングだと思って間違いない。その場合は避妊手術をすることで解決する可能性が高い。

木にマーキングする猫。マーキングの場合は、不妊手術を行うことで問題が解決することがある Photo by iStock

一方で、まとまった量、例えば1回分の量のおしっこを、しっかりとお尻をつけてトイレ以外でしている場合は、現在のトイレになんらかの不満を感じている可能性がある。
そこまで分かりやすく粗相をしないまでも、猫がトイレで用を足した後に砂もかけずに走って出てきてしまうような場合は(トイレハイなどと言われたりすることもあるが)、猫がそのトイレを好ましく思っていない気持ちの現れである。
いずれの場合も、まずはトイレの環境や場所、個数などを見直す必要がある。

通常、猫は非常に時間をかけて優雅に(?)用を足す。まずはトイレの周りを探索し、においを嗅ぎ、排泄したあとはしっかりと砂をかけて、ゆっくりとトイレを離れる。砂もかけずにトイレから飛び出してくるのは、そのトイレから一刻も早く遠ざかりたい気持ちの表れなのだ。我々が、臭くて汚くて時に危険なトイレにはなるべく入りたくないし、長居したくないのと同じである。