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「マイノリティへの配慮」を受賞条件にした、アカデミー賞の英断

ハリウッドの創造性は失われない

アカデミー賞の新しい選考基準

これから、アメリカ映画界は大きく変わるのか、それともまるで変わらないのか。9月8日に、アカデミー賞を選考・授与する米映画芸術科学アカデミーが発表した“新ルール”が、論議を呼んでいる。

作品賞にノミネートされる映画に対して課される選考基準の変更は、2016年以後、米アカデミーが積極的に推し進めてきた多様化のための努力の一環である。この新しいルールによれば、米アカデミーが設定した「基準A」「基準B」「基準C」「基準D」の4つのうち、最低2つを満たさない映画は、2024年以降、作品賞を受賞できなくなる。

現在のアカデミー会長であるジョン・ベイリー監督[Photo by gettyimages]
 

このうち「基準A」は出演者やストーリーそのものについて。たとえば、「主役、または非常に重要な役をアジア系、黒人、ヒスパニック系、ネイティブ・アメリカン、ネイティブ・ハワイアンなどが演じていること」、「助演のうち30%をLGBTQ、有色人種、女性、障がい者が占めていること」、「作品のストーリーそのものがマイノリティを取り上げていること」など。

「基準B」は作り手についてで、監督や脚本家、プロデューサーをはじめとする主要な地位の制作者や現場の撮影クルーに、上記のようなマイノリティを一定数含むことが求められる。

一方で「基準C」と「基準D」は、普段からスタジオやプロダクション会社が行う努力義務に関するものだ。「C」では有給のインターンシップやトレーニングプログラムにマイノリティを積極的に採用すること、「D」では社内のマーケティング部、宣伝部などの役職ポジションに上記のようなマイノリティの人を複数配置すること、などが挙げられている。

ハリウッド映画は変わるのか?

これらのルールは、良くも悪くも非常に考え尽くされており、賛否を呼んでいる。なぜ“良くも悪くも”かというと、意図的に抜け穴が用意されているからだ。

その抜け穴とは、「基準C」と「基準D」。現状、とくにメジャースタジオにおいては、この2つの基準はすでに満たされている場合が多い。スタジオのマーケティング部には女性とLGBTQの社員が多数いるし、マイノリティが参加するインターンシップも行われている。