シングルマザーを支える福祉制度

家中を走り回るフレイアちゃん同様、朝から晩までパワフルに動くカーンさんの姿が印象的だ 撮影/小林香織

デンマークでは、子育て家庭への福祉制度が充実している。以下はカーンさんが得ている政府からの補助金や支援の内容だ。

1、子供がいる家庭すべてに支給される補助金(約1,532クローネ:約26,000円/月)
2、シングルマザーに支給される補助金
3、父親が死亡、または存在しないシングルマザーに支給される補助金
  ※2・3をあわせて2,404クローネ:約4万円/月
4、保育園や幼稚園の通園費用が無料(低所得者に適用される)

補助金は3ヵ月に一度、支給されているそうだ。

現在、カーンさんは自身のキャリアの専門分野である「ジェンダー&セクシャリティ」の記事執筆を担いつつ、それ以外の時間は主婦として家事と子育てに専念する。彼女は高学歴で、以前は国際的な大学で専門分野について教えていたが、留学生の減少によりフルタイム職を失ってしまい、現在求職中だという。

今後、彼女がフルタイムで働き始めると、保育園や幼稚園の費用の一部(最大25%)を支払う必要があるが、デンマークでは学費が無料であり、大学生には月約10万円の補助金が支給されるため、貧困によって教育が遮断される心配はない。

「デンマークの福祉制度が完璧だとは思いませんが、世界基準で考えると素晴らしいのは確かです。他の北欧諸国も充実した福祉制度を持っています。私が今の生活を維持できているのは、政府からのサポートのおかげです」(カーンさん)

宿泊したカーンさん宅にてフレイアちゃんと一緒に自撮りする筆者 撮影/小林香織

娘のフレイアちゃんは、まもなく2歳。エネルギーに満ちあふれていて、毎日家中を駆け回っている。好奇心いっぱいの目で周囲を見渡し、ちょっとしたいたずらが大好きで、とにかく愛らしい。今回の滞在で、私たちはすっかり仲良くなった。この小さな天使は、カーンさんの人生にどんな変化をもたらしたのだろう。

「自分の時間は確実になくなりましたが、娘のおかげで私は自分自身が成熟したように感じます。そして、以前よりもずっと強く、生きる意味を見出すこともできた。同時に、社会からの期待、自分自身への期待から開放された気がします。

娘を育てる中で、家族は必ずしも父、母、子供というカタチである必要はないと確信しました。私は娘と2人きりでも幸せな家族になれる。もし、父親が必要だと思ったら、これからパートナーを探すこともできるし、他のシングルマザーと一緒に住むという選択肢もある。一番大切なのは私たちが幸せを感じられることであり、家族のカタチにとらわれなくてもいいはずです」(カーンさん)