「高学歴は就職に有利」は本当か?「就職偏差値ランキング」から徹底分析する

企業はどこを見て採用をしているのか
川畑 翔太郎 プロフィール

ここで誤解してほしくないのだが、筆者は就活における学歴の優位性に対して、否定的なわけではない。

偏差値の高い学校(特に大学)に入るためには、地頭の良さも関係するだろうが、そのほとんどは本人が目標に対して努力した結果だと言える。それを仕事に置き換えれば、目標に対して、戦略やスケジュールを練り、期日までにやるべきタスクを継続して処理し続け、最終的に目標を達成できる人材であることを示唆している。

つまり、偏差値の高い大学に入ることができたということは、何も努力をしなくても入れた地頭の良い人間を除けば、目標達成のための行動を継続して「結果を出した人」だと言える。

 

昨今では、家庭の経済的な事情で大学に進学できなかったり、退学してしまうケースも増えており、単に学歴だけを評価軸にしている場合は視野が狭いと言えるが、大卒者の採用の場合は、企業が学歴も評価することはむしろ当然で、その努力を評価しない方が不公平だと思っている。

さて、ここで話を戻す。筆者が取ったアンケートは、現在大学生のみならず、就職を経験した社会人も含まれており、およそ80%が「学歴が就職に有利に働く」という印象を持っている結果となった。しかしその印象は果たして正しいのだろうか? 実態はどうなのかをデータを交えて検証していきたいと思う。

全国549大学の「就職偏差値」

『大学通信』という団体が収集したデータをもとに作成した「2020年有名400社実就職率ランキング」というデータがある。このデータでは、回答のあった全国549大学を対象に、各大学で「有名企業」400社への就職率が高いトップ100の大学を抜粋している。

このデータに、東進ハイスクールが算出した大学入試偏差値(医学部・薬学部・看護学部を除く)を加えたのが以下の表だ。本記事では、公務員への就職ではなく、民間就活における学歴の優位性を検証したいので、「有名企業」への就職率だけに着目し考察していく。

※1 ランキングでは公務員と医療関係への就職は除いている。※2 東京大学、慶応大学はデータがないため除外

まず「有名企業」への就職率を見ていくと、東京工業大学(54.4%)に次いで、電気通信大学(39.5%)、名古屋工業大(38.7%)、東京理科大(38%)、九州工業大学(37.4%)、豊田工業大学(37.3%)などの理工系大学の強さが際立つ。

ここで注目したいのは、学生の約5割が有名企業に就職する東京工業大学を除いた、理系大学の就職率のランキングだ。偏差値の高低に関わらず、およそ3割の学生を有名企業に送り込んでいる結果となっている。

 

これは採用現場での肌感としては、理工系の大学は「学歴」というよりは「専攻」によって就活の優位性が異なる傾向があるためと言える。例えば「機電系」と呼ばれる「機械工学」「電気電子工学」「情報工学」は特に就職に強い。

文系学科がある大学では、一橋大学(52.4%)、早稲田大学(34.7%)、大阪大学(34.3%)といった有名大学が上位にあがるが、そのなかでひときわ目立つのが2004年に開校した国際教養大学(42.9%)の採用率だ。

この大学は、少人数制や講義はすべて英語で行う授業スタイルで有名だが、文系でも専門分野に特化したことで企業からのオファーが高まっていることがうかがえる。

上位2校の東京工業大と一橋大に関しては、私が実際に会っても優秀な学生が多く、学力だけでなく、コミュニケーション能力といったビジネススキルが高いので、データと実際に現場で感じる印象は一致している。