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銀行業界はまだ知らない…? 菅首相が「地銀再編」に動き出した「本当の狙い」

地銀再編は手段。本丸は…
橋本 卓典 プロフィール

本丸は「企業支援」

ここで冒頭に述べた地銀再編の目的の話に立ち戻る。

そもそも何のために地銀再編を進めるのか。「地銀の経営体力を強化するため」ではない。これもまた目的を達成するための手段に過ぎない。

真の目的は、コロナ禍で産業構造の転換という未曽有の事態に挑まなければならない企業を支援し、経済の活性化に貢献することだ。氷見野良三長官率いる金融庁が8月末に公表した金融行政方針に明示されている。

だからこそ金融庁は、再編で「経営体力をつけて終わり」では許されない。企業支援の実効性まで目を光らせなければならない。

地域が疲弊し、大きくなった銀行だけが生き残る「国破れて銀行あり」などというふざけた話は国民の誰もが望まない。本丸は企業支援だ。手段に目がくらむと、ろくなことにはならない。

 

銀行もこれまでの「単なる銀行」であることを捨てることを覚悟しなければならない。資金繰り支援をしていれば済むフェーズではない。取引先の企業の経営全般にわたる支援まで踏み込まなければならない。

企業支援こそが本業で付随する機能として金融があるという発想の転換が求められる。これまで多くの銀行員が踏み込まなかった領域だ。「単なる銀行員」は消えるのだ。

筆者は捨てられる銀行4 消えた銀行員 地域金融変革運動体』の執筆に際し、中小企業支援の最前線で奮闘するプロフェッショナル達を取材し、学んだ。

銀行員にありがちな回収目線では、企業のバランスシートの改善にしか目が向かない。なぜならば「銀行として貸せる状態にすることが支援」と、根本的な勘違いをしているからだ。