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銀行業界はまだ知らない…? 菅首相が「地銀再編」に動き出した「本当の狙い」

地銀再編は手段。本丸は…
橋本 卓典 プロフィール

コロナ禍で変わる銀行

加えて、新型コロナウイルス感染症の影響もある。急速に進むデジタル化が、銀行の店舗網と人海戦術に依存してきたビジネスモデルを大きく変えようとしている中、動くに動けない状況もある。

少なからぬ地域トップ銀行は、同一地域内の二番手行、第二地方銀行の買収のための経営資源を使うことが本当に生き残りにつながるのかを疑問視している。組織文化の融合はそれほどまでに苦難なのだ。

貸出債権の劣化で合併比率の算出が困難という実務面の問題もある。コロナ禍で売り上げが消滅し、客足が途絶え、返済能力を失った企業は少なくない。国はコロナ対策として、大規模な無利子・無担保の制度融資を実施した。

しかし、いくら無利子でも元本は据え置き期間の3年(最長5年)を過ぎれば返済しなければならない。

となると、銀行の貸出債権の大部分は、旧金融検査マニュアル基準(2019年12月廃止)では、7割程度の償却・引当を求められる破綻懸念債権に該当するかもしれないのだ。少なくとも貸出債権の深刻な劣化があるかもしれない以上、合併作業は困難を伴う。

 

地銀を襲う収益力の低下

それでも政府が地銀再編を押し進めようとしているのはなぜか。それは、地銀の業績が悪化し、経営体力が弱ってくるとみているからだ。

幸い、自己資本比率を一気に押し下げ、金融庁が早期是正措置を発動させるような不良債権問題にはこれまで起きなかった。バランスシートは健全だが、問題は収益力の低下だ。