なぜ日本の少子化対策は「大失敗」だったのか?

安倍政権の総括、そこから見えたこと
赤川 学 プロフィール

この厳然たる事実を前になお、「女性の働き方には非正規が多いからだ」だの、「女性がただ働くだけでなく、働きやすい環境が必要だ」といった議論をする人をみかけたら、疑って、生温かくみるようお勧めしたい。

なぜならこのような議論は、自らの仮説が間違っていた可能性を認めることなく、事後的に新たな条件を追加しているにすぎないからである。

「後出しジャンケン」はやめましょう、という話である。

そもそも間違った前提のもとで進められた少子化対策であるから、効果が出ないとしても、当然といえば当然だ。

とはいえ、安倍政権の少子化問題における「レガシー」は、2016年5月、「ニッポン一億総活躍プラン」の一貫として、2025年度までに希望出生率1.8という目標を、戦後初めて公言したことである。残り5年でこの目標が達成できる見込みは、かなり低いであろう。

このことが明らかになった暁には、ワークライフバランスや働き方改革や女性活躍で「希望出生率1.8は実現可能」と煽った専門家や政治家の皆様には、なんらかのけじめをつけてもらいたいところである。

〔PHOTO〕iStock
 

経済成長こそ命

とはいえ本稿の目的は、少子化対策が奏功しなかった責任を、誰かに押し付けることではない。

そもそも少子化の弊害とされてきた経済成長の低下と、現行年金制度の不安定化は、子どもを増やすことに頼らなくても、解決できるからである。