「こんな映画誰も観ないよ」と言われたのに大ヒット

本作を制作するにあたり、ワン監督は目に見える形の差別を受けなかったと言うが、「80歳の中国人のおばあちゃんの映画なんて誰も観たがらない」と繰り返し言われたそうだ。それでも、監督はこの映画を作り上げた。何が原動力だったのだろうか。

『フェアウェル』より

「だって、80歳の中国人のおばあちゃんと私のような普通のアジア系の女性を主役にした映画は、誰も作ってこなかったからです。でも、誰も作ってこなかったからといって、誰にも求められないとは限りませんよね?

実際にこの映画を見た白人のアメリカ人の多くが、『私の家族を思い出しながら観た』『字幕を読んでいることすら忘れて没頭した』と言ってくれました。ナイナイ(劇中の祖母の名前)はロシアのおばあちゃんでもあり、メキシコのおばあちゃんでもあるんです。それに、普通の顔をした人々が登場する映画がそもそもあまりないなんて、がっかりですよね」

本作のキャストにはきらびやかなハリウッドスターやモデルはいない。実際に、ビリーのパンチパーマの大叔母の役はワン監督の大叔母(もちろん素人)が演じており、撮影も監督の祖母の家や祖父が眠る墓地でロケをしたそうだ。本作が繊細なまでにリアルなのは当然なのかもしれない。