今年のアカデミー賞で、ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』が外国語映画で初となる作品賞をはじめ最多4部門を制し、ハリウッドにおいてダイバーシティ&インクルージョンが進んだかのように見えた。けれども、監督賞にノミネートされた女性監督はひとりもいなかった。

そこでナタリー・ポートマンが、ノミネートされるべき女性監督たちの名前を金色の糸で刺繍したケープを授賞式で羽織ることで問題提起をしたが、そのケープに名を連ねた一人が、中国系アメリカ人のルル・ワン監督である。

ルル・ワン監督

ノミネートが期待されていた彼女の長編2作目、『フェアウェル』が10月2日に公開される。同作は本国アメリカで2019年に公開され、わずか4館の公開でのスタートにもかかわらず口コミで広がり、公開3週目には全米TOP10入りを果たすという異例の大ヒットを記録。アカデミー賞の前哨戦と言われるゴールデングローブ賞では外国語映画賞にノミネートされ、主演のオークワフィナはミュージカル・コメディ部門の主演女優賞をアジア系女性として初めて受賞した。

アメリカにおいてマイノリティであるアジア系の揺らぐアイデンティティを、リアリティとユーモアをもって描いた本作。移民2世の主人公は、監督自身のバックグラウンドとも重なる。

人種、民族、言語、国籍。私たちのアイデンティティを決めるものは何なのか。この問いに向き合い続けてきたワン監督に聞いた。