恐竜の体重はどうやってはかる? 答え合わせのできない難問に挑む

アフリカゾウ12頭分の巨大恐竜がいた
熊谷 玲美 プロフィール

体重推定の「精度」と「正確度」

約6600万年前に地球上から姿を消した恐竜。実際にはどんな姿をしていたのか、だれも見たことがない。どれだけ「正しく」体重を推定したと思っても、タイムマシンに乗って答え合わせにいくわけにはいかない。

正解のわからない恐竜の体重を「正しく」推定するというのはどういうことなのか。二つの方法はそれぞれ、体重推定の「精度」と「正確度」 という異なるものをもたらすのだと、カンピオーネ氏はいう※9

体積から推定する方法では、推定の「精度」が高まる。これは的に当たった矢の「ばらつき」を小さくすることだ。一方で脚の骨の公式を使う方法は、推定の「正確度」をあげる、つまり矢をできるだけ的の中心に近づけるものだという。

いちばん良いのは、二つの方法を組み合わせて使うことだというのが、カンピオーネ氏の考えだ。そしてドレッドノータスのように、二つの推定値のずれが大きい場合には、考えていた体の形やしくみ、あるいは脚の太さと体重の関係を考え直すことができるという。

ティラノサウルス「スタン」の頭蓋骨はあまりに重いため、レプリカが取り付けられている。Credit:Getty Images

ティラノサウルスの「スタン」はオークションに向けて、9月半ばからすでにマンハッタンの真ん中、ロックフェラーセンターのクリスティーズに展示されている。新型コロナウイルスの流行が続くなかでも、多くの人がその巨体を見上げるはずだ。

そうした人たちはきっと「推定体重は7トンから8トンです」という説明を聞くだろう。この数字をただのスペックと思わずに、地球上を歩きまわっていたスタンの姿に思いをはせるような人が落札してくれたらと思う。

【参考資料】
※1 https://www.christies.com/features/The-life-of-STAN-a-T-rex-excavated-in-1992-10872-7.aspx
※2 https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0004532
※3 https://drexel.edu/now/archive/2014/september/dreadnoughtus-dinosaur/
※4 https://www.nature.com/articles/srep06196
※5 https://www.afpbb.com/articles/-/3025067
※6 https://www.nationalgeographic.com/news/2015/06/150609-dreadnoughtus-dinosaur-weight-downgraded-science/
※7 https://theconversation.com/how-do-you-weigh-a-dinosaur-there-are-two-ways-and-it-turns-out-theyre-both-right-144874
※8 https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/brv.12638

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