恐竜の体重はどうやってはかる? 答え合わせのできない難問に挑む

アフリカゾウ12頭分の巨大恐竜がいた
熊谷 玲美 プロフィール

どちらの手法も同じくらい間違っている

恐竜の体積から体重を推定する方法は、20世紀はじめからおこなわれてきた。以前は立体模型を水中に沈めて、アルキメデスの原理で体積を測定していた。現在は仮想的な三次元コンピューターモデルが使われる。

いっぽう、脚の骨の公式を使う方法は、絶滅した哺乳類や鳥類でも広く使われてきた。恐竜の脚にかかる体重も、四本足の恐竜と、二本足の恐竜では異なるので、それぞれ別の公式がある。

ドレッドノータスの大腿骨と、発見者のドレクセル大学の考古学者ラコバラ氏。Credit: Drexel University

しかし、ドレッドノータスの体重推定をしたリバプール大学のベイツ氏はナショナルジオグラフィック誌に、「どちらの手法も同じくらい間違っているというのが公平な言い方です」と語っている※6。 「私たちの推定値は低い方に間違っているということです」

体積から推定する方法は、体全体の骨格データを使う。そのため、発見されている骨が少ないと、復元モデルが正しくない可能性が高くなる。多くの骨が見つかっていても、実際の体の形や密度など、正解がわからない部分がある。

一方で、脚の骨の公式を使う方法は、体の一部の骨だけを使うので、特に巨大な恐竜では不正確になりがちだ。そして、現在生きている動物と同じ公式が、絶滅した恐竜に当てはまるというという前提が本当に正しいかどうかもわからない。

どちらの方法でも、推測にもとづいた計算になることは避けられないのだ※7。 

そのうえで、「どちらの方法も正しい」というのが、オーストラリアのニューイングランド大学のカンピオーネ氏だ。

カンピオーネ氏は9月1日に発表した論文で、 過去のさまざまな恐竜復元モデルを使って、体積から求めた推定値と、脚の骨の公式から求めた推定値を比較した※8。分析した復元モデルの数は400件以上、最も古いものは1905年までさかのぼる。

分析してみると、統計的にはどちらの方法でもほぼ同じ体重になることがわかった。ドレッドノータスのようなケースは、むしろ例外なのだ。推定値が食い違ったのは、発掘された化石が成長中の若い個体だったせいだとカンピオーネ氏は考えている。