"自分は何にでもなれる"
信念やアイデアによって世界を変えられる

——幼い頃のエレンさんにとって、絵をはじめとするアートの存在とは?

その質問への答えは幼い頃から変わっていません。 好きな色はライトブルー。 お気に入りのアニメは「スワン・プリンセス(白鳥の湖)」。 好きなことは絵を描くこと。 私にとって、アートは、遺伝子の一部だと言っても過言ではありません。私の胸には、未来を覗いたり、祖先のストーリーを知ることを助けてくれたりするタイムマシンのような装置が付いていて、そこでアイデアを生み出してくれるようなかんじです。ターボモードをオンにして、空想の世界を歩き回ったとき、私は自分がアーティストなのだと気づくことができたのです。

ドローウィング作品(C)Ellen Sheidlin

空は青の中に隠れ、そこにある雲の形は様々なアーティストの手で異なる姿に描かれています。「スワン・プリンセス」は魔法、変化、愛を私に教えてくれ、人間とは見せかけ、動物でさえも、プラスティシーン(粘土)のようにどんな形にも作ることができるのだと知りました。描画は、優美なアートという言語によって、映写機やテレビのように人の知覚を広めることができるのです。

子どもはアートとは何かを理解することはできるでしょうか? でも私はいつも美しさとは何かを分かっていました。

——ご自身をどのような女性だと思いますか?  幼い頃から振り返って教えてください。

リトルエレンは、冬に寒がる虫を助けて、ジャムを与えることが好きな目立たない女の子でした。魔女やマーメイドになったり、空を飛ぶことを空想して遊んだり、すごい力を持つことを夢見ていました。 暗い影に隠れ、自分の存在を世界に知らせようとは思ってもいませんでした。私は自分が勇敢で、信念やアイデアによって世界を変えることができると気づきました。

私は女性が大きな成功や影響力を持つのは難しいと感じることはありますが、マリーナ・アブラモヴィッチ(編集部注:旧ユーゴスラビアセルビア出身の世界的な現代美術家。現代美術界では“パフォーマンス・アートのグランドマザー”と評されている)のような偉大なアーティストがいて、世界が変化する時代に生きることができていることを嬉しく思っています。私の身体は楽器であり、キャンバスですし、パフォーマンスは私の表現方法です。

——幼い頃”好きだったもの”が、どのようにして、現在のように、より明確な“表現” に発展したのでしょうか。たとえば、写真との出会い、自分の身体をキャンバスにするという表現方法はいつ、どのように確立しましたか?

アニメとおとぎ話が隠喩の世界を教えてくれ、私は現実の世界には存在しないものを他のものに例える力があることに気がつきました。 例えば「お腹が空いた」と言うのではなく「お腹を財布のようにひっくり返したら、中身は空っぽだった」とか、「ひどい渋滞だ」というのではなく「車が道もなく整備されていない芝生のようだ。帰るのに時間がかかる」のように。 「好き」という言葉は、連想やつながりを広げることを助けてくれます。私は隠喩での比較ができれば、写真や描画にも生かすことができると分かりました。 このテクニックは、目の色のように私の一部であり、生まれつき持っているものです。

——「自分は何にでもなれる」というコンセプトは、どのように生まれましたか?

SNSを始めた時、私は自分に命を授けたのです。そうして、生まれながらの運や遺伝子によって自分というものが生み出されたわけではないということにも気づきました。あらゆる場所で、好きなイメージを作り、顔を変え、自分を発見することができるのです。私は観客も、私専用の映画館に参加できる俳優だと思っています。 創造は、私を洗練させるすばらしいベースで、それにより私は何にでもなることができるのです。