出会ってから2週間目には結婚の話

シンチの甲斐甲斐しさは尋常ではなく、まず2週間に一度は耳掃除の日が設けられた。クリームと綿棒を持参して、耳の中を隅々まで掃除してくれる日だ。さらに、週に3日は骨の歪みを治す日が設けられた。なぜか整体師の資格を持っているシンチはポキポキと骨を鳴らしながら身体の歪みを常に取ってくれるのだ。他に頭皮マッサージの日などもあり、とにかく全力で女性に尽くし続けることが彼の生きがいになっているようだった。

一番驚いたのは、街を歩いていて私が疲れた様子を見せると……おんぶしようとし出すこと。
私は赤ん坊か……?

また、サイクリングで私がバテてしまった日には、親族に電話をしてバイクで迎えに来てもらい私を乗せるように指示し、シンチは自分の自転車と私が降りた自転車の2台を鍛え上げられた肉体で担ぎ歩き出した。重い自転車を2台担いで歩く人間を初めて見た。
君はアーノルド・シュワルツェネッガーか……?

とにかく情熱的なシンチは、出会いから一週間目で真剣な告白、2週間目には結婚の話、3週間目には事前に知らされずに実家に連れていかれた。「台湾では実家に彼女を連れていくのは普通のことで気にすることはありません。歳の差や国籍は全然関係ありません」それ以降、彼は頻繁に家族に私を会わせるようになり、旧正月なども彼の実家でゆっくりと過ごした。

今まで付き合ったことがないほど情熱的なシンチとの毎日は楽しかったけれど、結婚となれば話は別だ。結婚生活にはお金もかかるし、子供が生まれれば責任を持って育てることのできる環境が必要不可欠。

何でもお互いのことをオープンにするのが台湾人の恋愛スタイルなので彼は給料も包み隠さず教えてくれた。「月収は8万5千円で貯金は10万円です。2年待ってください。2年間で結婚式費用を絶対に貯めてみせます」その後、私とのデート代以外は全部貯金し、半年間ずっとフルスロットル状態で変わらず尽くし続けてくれたシンチ。

でも、結婚を前提とする付き合いとなると、ただ一緒にいて楽しいだけの関係性ではなくなっていった。男女の付き合いはお互いの求めているものが一致するからこそ続くもの。

日本でいう大判焼きの「古早味紅豆餅」はあずき、カスタード、チーズ、タロ芋味などがあります。写真提供/歩りえこ
タロ芋味は日本にないのでおすすめ。写真提供/歩りえこ