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大学病院は「相席居酒屋ビジネス」? 古いモデルを変えるべき時

「無給医」問題から考える
大学病院はまるで「相席居酒屋ビジネス」? このほど『未来の医療年表 10年後の病気と健康のこと』を上梓した奥真也氏(医師/医学博士)が、「必要悪」ともされる「無給医」問題を入り口に、旧態依然とした大学病院の実情に迫ります。

「無給医」問題報道

「無給医」とは、大学病院などに勤務していながら病院から給与を支払われていない医師のことを言います。

2018年10月、NHKが「ニュースウォッチ9」でこの無給医の問題を報道して以来話題となり、2019年6月には文部科学省が全国108ヵ所の医学部や歯学部の附属病院を調査し、全国50の大学病院に2191人の無給医がいると公表しました(その後、2020年2月に、59大学、2819人と訂正)。

「無給医」と聞けば、大学病院の事情に疎い一般の人は十中八九、「ひどいことをしている」という印象を抱くでしょう。ただ、この2819人の「無給医」は、そのかなりの割合が医学部の大学院生であるということは理解していただきたいと思います。

医学生/新米医師のキャリア形成

医学部を卒業し、医師国家試験に合格して医師免許を取得した人は、その後2年間、研修医として、総合病院を選択して比較的広い臨床医学領域について研修を受けます。

この「初期研修」と呼ばれる期間が終わると勤務医として働くことができるようになり、中には実際に市中病院で働き始める人もいますが、多くの人は、さらにまた3~5年間の研修(後期研修)を受け、専門性を高めることになります。この研修期間のどこかのタイミングで、出身大学もしくは他の大学医学部附属病院の医局に入局する人が多いです。

「医局」とは大学医学部の附属病院において、診療科ごとの教授を頂点とした人事組織のことです。大学病院の医局に入局した医師のうちある程度の割合の医師は、4年間の大学院博士課程に入学します。

大学病院で働く医師になぜ大学院に進む人が多いかというと、大学病院、特に旧帝大をはじめとする国公立や私立の名門大学の医学部附属病院は、もちろん診療や教育の場ではありながら、最先端の研究の場であるという意識が伝統的に強いからです。

特に、医局のトップである教授には研究志向の人が少なくありません。部下となる医局員も、そういう状況を理解して医局に籍を置いているので、博士課程に入学して臨床と研究の両方を手掛けて、医学博士号の取得を目指します(ただ、最近は、博士号を取るより「専門医資格」のほうがいいと考える若い医師が増え、医局の求心力が減少しているという指摘もあります)。