「私たち人間は、昆虫から学ばなければいけない」

マイクを握り強く訴えかけるのは、俳優の香川照之さん。この日は、映画の舞台挨拶でもドラマの制作イベントでもない。自身がプロデュースをする昆虫をモチーフにした子ども服ブランド「インセクトコレクション」、大人も着られる新ブランド「インセクトガーデン」、昆虫の絵本とグッズを扱う「インセクトランド」の2021年春夏コレクションの合同展示会だ。

日本を代表する役者の一人である香川さんだが、無類の昆虫好きとしても知られ、昆虫が主人公の絵本を手がけるほか、NHKの子ども向け番組「香川照之の昆虫すごいぜ!」では着ぐるみ姿の“カマキリ先生”に扮し、昆虫の生態から学ぶ自然界の尊さを子どもたちに教えている。

1時間におよぶ熱いプレゼンテーションを終えた香川さんに、「私たちが昆虫から学ぶこと」について直接話を伺った。

香川照之(かがわ・てるゆき) 俳優/Insect Collection、INSECT LAND、Insect Gardenプロデューサー Photo by SHODA MASAHIRO

ブランドに込められた本質的なメッセージ

香川さんがブランド(インセクトコレクション)を立ち上げたのは、2018年のこと。「大好きな昆虫をモチーフにした可愛い子ども服を届けたい」という思いの裏側には、壮大なテーマがあるという。

インセクトコレクション:地球に配慮した加工剤を使い、抗菌、消臭、抗ウイルス、防汚と高機能でありながら環境負荷をかけない。商品の一部にオーガニックコットンを使用している。金額はTシャツ¥1,980〜と手ごろな価格帯も人気の理由のひとつだ

「幼い頃から数えるとかれこれ50年近く昆虫を見つめ続けていると、昆虫を取り巻く環境が変わってきていることに気付かされます。例えば、西日本でしか見られないはずのクマゼミが恵比寿駅で鳴いていたり、もともと九州地方に生息するナガサキアゲハが伊豆で目撃されたり。ここ数年で数が激減している昆虫もいます。私たち人間は、この地球上に生まれた最も新しい生物であり、数億年かけて生命をつないできた昆虫の後輩です。後から生まれた人間が、環境を破壊し大きな顔をしているのは、いかがなものか? ブランドを自然教育の場として、私たちが昆虫や地球に守られて生きていることを子どもたちに伝えたい」

3つのブランドはそれぞれ個性を活かして展開している。洋服やグッズをリーズナブルな価格帯で提供し、TPOやマナーなどの社会性だけでなく、環境問題や国際性に対する理解を深めることを目的とした、子どもの生きる力を育てる「服育事業」に力を入れている。収益の一部は自然保護や昆虫生体保護などの貢献事業に寄付。アパレル事業をスタートさせ約2年で30万点ほどの商品を流通させたが、なんと在庫ロスはゼロという、驚きの業績をあげている。

「インセクトコレクション」から新たに発売されたTシャツは、抗菌、消臭、抗ウイルス、抗カビ機能を備えた「レピュールプレミアム」加工。マスクの新作は、「せっかくなら可愛いものを」と、プリントされたカラフルな昆虫柄が、暗闇で光る仕様になっている。マスクの収益はすべてアフリカの感染症対策NPO団体に寄付している。