菅義偉内閣が発足した。支持率も70%を超え、概ね世論はご祝儀ムードだが、海外投資家の反応も良好だ。
私はゴールドマン・サックスで長年投資に従事してきたが、菅内閣への期待は高く、今後、日本株についてもポジティブな見解を持っている。
しかし、ご祝儀世論を受けて早期解散となれば、株価はネガティブに推移する可能性がある。海外投資家の視点から、菅政権と株価の推移を占ってみよう。
もともと官房長官、菅義偉氏への海外投資家の評価は高かった。安倍政権、約8年間のキーパーソンであり、政権の中枢で衆参5回の国政選挙を制した。なにより信頼がおけるのは、その政策実行力だ。
内閣人事局に官僚人事を集約し、人事権を掌握することで、巧みに霞が関をコントロールしている。たとえば、コロナ禍で行われたGoToキャンペーンは賛否両論があるが、海外投資家からの評価は高い。旅行業界の壊滅を防ぐために必要という考えが根底にあったのだろうが、いかなる批判の中でもやるべきと考えた政策は、嫌われ役になっても押し通す。この強い意思が評価されているのである。
また海外投資家は一貫してアベノミクスを支持してきたが、菅氏はいち早くアベノミクスの継承を謳い、大きな混乱なく総裁選を乗り越えたことも、評価を高めるポイントとなっている。