コロナで壊滅的被害の音楽業界、次の時代に向けた「変化と希望」

野村達矢氏インタビュー(後編)
柴 那典 プロフィール

ストリーミングへの移行が進んだ

――音楽業界全般に暗いニュースが続いている状況ですが、明るい兆しや動きはありますか?

明るい動き!? なんだろう……ないんじゃないかな。すぐに思いつくものはないですね。

夏フェスがここまで全滅するとは思わなかったし、オンラインライブにしても今までのライブツアーをやってきたことの売り上げや経済活動は全く賄えていない。なかなかまだまだ明るい兆しを感じることはないですね。

ただ、例えば、8月に米津玄師がアルバムをリリースしてストリーミングでも楽曲を開放したように、日本の音楽シーンもフィジカルマーケットからストリーミングマーケットに動き始めた。そのことは、ひとつの、ちょっとした明るい兆しはあるのかなという気はします。

〔PHOTO〕gettyimages

――ストリーミングのマーケットへの移行はどういう点でプラスになりますか。

これまでCDをたくさん売るという利益率の高い商売をやってきたので、ビジネスモデルとしては、フィジカルが減少することはもちろん利益率が下がることに直結するんです。

けれど、多くの人たちがストリーミングのサイトに登録して音楽を常日頃聴く環境が広がることは、リスナー、音楽マーケットを支える人のすそ野が広がることにつながると思います。

もうひとつ、ストリーミングのメリットとして、これまでドメスティックだった日本の音楽が海外に広がるチャンスにつながる。

自分たちの表現が直接的に海外に広がる意識をもって制作にアプローチしている若いアーティストが出てきたりもしています。ストリーミングの時代になって、最初から世界マーケットを狙うアーティストが出てくる土壌が作られるのは、すごく素敵なことだと思います。

 

――実際にそういったアーティストが出てきている例もありますか?

うちで言うとThe fin.というアーティストがそうですね。6月26日に下北沢FEVERでオンラインライブを開催しました。日本からは1000人ぐらいの視聴者だったんですが、中国で合計20万人のリスナーがこれを見た。そういう現象が起きるという意味では、オンラインライブの可能性もすごく大きいと思います。