コロナで壊滅的被害の音楽業界、次の時代に向けた「変化と希望」

野村達矢氏インタビュー(後編)
柴 那典 プロフィール

「Music Cross Aid」とは何か

――「Music Cross Aid」は6月11日に発足しましたが、いつぐらいから、どういった座組みで動き始めたんでしょうか。

3月からロビー活動を始めて、何らかの形での損失補てんや助成金が欲しいという話をしたんですが、簡単にはいかなかった。だったら自分たちで資金を集めて、自分たちの業界の中で再分配する仕組みを作るしかないという思いで、3団体でいろいろディスカッションした中で考え出したのが、基金を設立しようということでした。

ただ、いざ基金を作ろうとなるとハードルが高い。いわゆる公益財団法人を作るのが受け皿として望ましいんですが、公益財団法人は3年間の実績がないと認められない。この時期に3年間も費やすことはできないので、新たに公益財団法人を立ち上げる選択肢はなくなりました。

じゃあ、どうすればいいのかという中で見つかったのが、公益財団法人パブリックリソース財団という現存の公益財団法人の軒先を借りて、そのプラットフォームの中に基金を作るという方式だった。そこから立ち上げる準備がはじまったのが5月の前半ぐらいですね。

「Music Cross Aid」公式サイトより

――この基金によって支援されるのはどういった人でしょうか?

ライブエンタテインメントに関わるスタッフの支援ができるような形になっています。3月から4月にかけて、経営の厳しいライブハウスに対してのクラウドファンディングがいくつも立ち上がり、ライブハウスにはフォーカスが当たっていたんですが、ライブ自体を運営している、もしくはそこに関わっているイベンターや舞台製作会社、音響、照明などのスタッフの人たちも同じように窮地に陥っていて、そこにはフォーカスは当たっていなかった。そういった人たちも支援できるシステムにしたいという考えがありました。

 

――先日に開催されたフジロックのライブ配信でも投げ銭の一部が「Music Cross Aid」に寄付されるということがありましたが、基金の反響はどうでしょうか。

おかげさまで、イベント関連の人たちがそうやって協力してくれたりとか、GoogleやSpotifyなどのプラットフォーム企業も含めて法人が大きな金額を寄付してくれたり、多くの人たちに継続して協力していただいています。

――こうした支援は少しずつ動いているわけですが、最初にもあった通り、ライブエンタテインメント産業の復活の見通しは、現状では見えていない。

そうですね。完全なる復活は見えていないです。こないだイギリスでライブエンタテインメントに関わるスタッフがデモをやっていましたけど、その中で「最初に仕事を止められて、最後に仕事を復活できることになるのは自分たちだ」というスローガンが掲げられていた。それは日本も一緒ですね。