孫正義の「戦慄すべき投資能力」、ついにソフトバンク非上場化で「イグジット」…なのか?

アーム社「4.2兆円売却」の狙い
加谷 珪一 プロフィール

現時点でも、同社副社長などを中心に数名の人物が後継者候補として取り沙汰されている。それぞれ立派なキャリアの持ち主だが、孫氏の後継者として市場から同じレベルの信頼感を獲得できるのかというと、そう簡単にはいかないだろう。

孫氏が今後もしばらくの間、気力、体力、判断力を維持出来たとしても、まだ課題は残る。それは、ソフトバンクグループがあまりにも巨大化したことで、これ以上、有望な投資先を発掘できない可能性が出てきたことである。

同社は中国のアリババグループやウーバーなど時価総額が極めて大きいネット企業の大株主となっている。また日本国内で通信事業を行うソフトバンクや、米国の大手通信会社TモバイルUSなど、通信業界を中心に巨大な事業会社も保有している(TモバイルUSについては一部売却)。

同社が上場企業として株式を公開している以上、今後も長期間にわたって利益成長することが強く求められる。だが現実問題として、従来と同様の成長を実現できる投資先を今後も継続的に発掘するのは容易なことではない。

 

数兆円の資金があれば非上場化は可能

著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる巨大投資会社バークシャー・ハサウェイも同じような課題を抱えている。バフェット氏という個人の卓越した能力に依存していることに加え、投資会社としての規模が大きくなりすぎて、有望な投資先の開拓が年々、困難になっている。

ソフトバンクグループが抱えるこうした問題を考えた時、孫氏自らが上場している株式を買い取って非上場化するというのは有力な選択肢となり得る。

同社に対しては近年、有利子負債の大きさや、投資先の時価総額減少など財務的な問題が指摘されてきたが、あくまでも、現時点でのポートフォリオを維持することを前提にした議論だ。保有している株式を自由に売買できるのであれば、現金化によって負債を返済できるので、財務上、それほど大きな問題は発生しない。