中国に学べ!アリババの新しい小売戦略「ニューリテール」ここがスゴい

世界中のマーケターが注目
永井 竜之介 プロフィール

難しかった生鮮食品の宅配EC

つまり、消費者は、店で買って自分で持ち帰る「通常購買」のほか、店で買って宅配を頼んで手ぶらで帰って自宅で受け取る「宅配購買」もできるし、仕事帰りにEC注文しておいて帰宅と同時に食材・惣菜を受け取る「宅配EC」もできる。すべて自分の思い通りに選ぶことができる消費体験を、フーマは提供しているのだ。

生鮮食品のECは、どの国でも伸び悩む難しい分野だ。肉や魚、野菜や果物は、ひとつひとつ形や味に差があり、鮮度にも不安を抱かれやすい。結局は実際に、自分の目で確かめたいから、店舗購買が選ばれ、ECは信用されなかった。アマゾンの生鮮食品EC「アマゾン・フレッシュ」でさえ、思うような成果をあげられていない。

それに対してフーマは、「店で買ったことがある商品」、「味と鮮度を信頼できるフーマの商品」として、安心して生鮮食品の宅配ECが選ばれている。オフライン(店舗購買)とオンライン(EC)、それぞれ単独では頭打ちになってきていたなか、フーマは「ニューリテール」の名にふさわしい価値を生みだしている。

 

このフーマは、実現に向けたチェックポイントが多いビジネスだ。

「専用アプリのみ、完全キャッシュレスの店なんて、お年寄りを排除する気か」、「店頭の商品をピックアップして宅配ECに利用するとは、お店のお客様に失礼だ」、「商品のピックアップ、レール配送、宅配の過程でトラブルが起きたらどうする」、「店内の水槽での、魚介類の鮮度管理が難しすぎる」、「『日日鮮』の仕入れ・物流管理は、本当に継続していけるのか」など。