中国に学べ!アリババの新しい小売戦略「ニューリテール」ここがスゴい

世界中のマーケターが注目
永井 竜之介 プロフィール

フーマが画期的な3つの理由

1つめの食品スーパーとして、フーマは、専用アプリ「フーマ」と「アリペイ」決済でのみ買い物ができる会員制になっている。そうすることで、顧客データと購買データを結びつけ、詳細な顧客分析と需要予測に活用している。

ただし、中国では誰もがアリペイを利用しており、店ごとにアプリを使い分けることにも抵抗はないため、実際は誰でも利用できる店舗である。

品揃えの特徴は、豊富な海外輸入品、店内の水槽に生きたまま入れられた新鮮な魚介類、そして新鮮さを売りにしたプライベートブランド「日日鮮(ルール―シェン)」である。日日鮮の肉や野菜は、曜日ごとにパッケージの色が変えられている。つまり、毎日、その日に仕入れた新鮮な食材だけを提供しているのだ。

しかも、この店舗にはバックヤードの在庫はなく、その日に提供する商品はすべて店頭に並べられる。これは、ビッグデータを用いた正確な需要予測と物流網があってこそ実現できることである。

2つめのイートイン・レストランとしては、現地で「シーフードを食べたいときは、フーマに行く」が定番になっているほど本格的だ。淡水魚や貝、エビ、シャコ、カニといった豊富な海鮮は、水槽で生きたまま購入し、すぐに調理カウンターで調理法と味付けを指定して、ダイニングエリアで食べることができる。

そして3つめが、フーマの要となる、EC向け倉庫・物流拠点としての役割だ。フーマでは、店で買った商品でも宅配サービスを推奨している。さらには、店舗での購入よりも、アプリ上でのEC・宅配サービスを推奨している。店は、商品を確認してもらうショールームの役割を果たせばいいと考えているからだ。

 

フーマの店内の天井には、宅配EC用のレールが設置されている。EC注文が入ると、すぐに店員が、店頭に並んでいる商品をそのまま専用バッグに詰めていく。店の商品棚は、そのままEC向け倉庫の役割も果たす。

注文商品が揃うと、バッグはクレーンへ載せられる。天井に続くレールで運ばれていった先の配送エリアには配達員が待っており、バイクですぐに家庭へ届けられる。店舗から半径3キロメートル圏内は、最短30分での配送が実現されている。