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『こち亀』で「訪日外国人」の描き方が劇的に変わっていた…!

日本人の外国人に対するイメージの変遷

漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(1976〜2016年、集英社『週刊少年ジャンプ』で連載)の40年の歴史において、「外国人」の扱いがかなり変化している。それは、平均的な日本人が40年間にわたって外国人に抱いてきたイメージの変遷そのものだ──。

そう語るのは、『『こち亀』社会論 超一級の文化史料を読み解く』の著者である稲田豊史さん。日本の文化・世相を、警官である主人公・両津勘吉という“大衆の目線”から定点観測的に捉え続けた『こち亀』が描いてきた外国人像とは。

コミックス全200巻という偉業はギネス世界記録にも認定されている

※以下、△年△号=『週刊少年ジャンプ』掲載号、△巻=ジャンプ・コミックス収録巻として表記。

70年代、無邪気に「変なガイジン」をイジる

1970年代、日本の多くの一般大衆にとって外国人は“ガイジン”であり、得体の知れない異星人も同然であった。映画やテレビ番組で見たことがあっても、生の“ガイジン”は一度も目撃したことがない。そんな日本人は――特に地方在住者や小中学生の『こち亀』読者なら――現在よりずっと多かったはずだ。

いきおい、漫画での描かれ方もキャラを立てた「変なガイジン」に寄る。77年4号「撃ちぞめの巻」(2巻)では、中川の友人としてホノルル市警のポールという美形の男性刑事が派出所に来訪。「カミナリコウエンマエハシュツジョここやろか!?」などとデタラメな日本語をしゃべり、「ジャパニーズキモノ! ベリービューティフル!!」「ジャパニーズストリップショウ! ワンダフル!」といった、典型的な漫画的リアクションで笑いを誘う。

対する両津も、「毛唐か!?」「青い目玉しやがって! えらそうにこの!」と、外国人慣れしていない下町の日本男児キャラが誇張気味に描かれた。70年代にしか許されない物言いの連発。実に牧歌的で無神経な時代である。