これまでの常識は通用しない!右派旋風が世界中で巻き起こるワケ

極右に投票するようになった労働者たち
吉田 徹 プロフィール

コロナ禍で加速する危機意識

戦前まで、経済的・社会的な地位は、生まれや地域に応じて不均等だった。しかし、世界大戦という二度の総動員体制によって平等を社会にもたらした国家は、国民に経済的・社会的平等を約束する民主的な存在へと生まれ変わった。

だから、約束が反故にされたと感じる者たちが、リベラリズムと袂を分かち、ナショナリズムに傾斜していくのは当然だ。現下のコロナ危機は、脆弱な立場へと追いやられると感じる者たちの危機意識を加速させることだろう。

 

リベラリズムを再検証する

かくして先進国の政治は、経済社会を覆う「自国ファースト対グローバリズム」、あるいは「権威主義対リベラル」という対立軸へと再編されていく。そして、この新たな対立軸は、歴史認識問題やヘイトクライム、カウンターテロといった、政治での新たな争点を呼び込むようになった。

BLM運動はコロナ禍と並び、2020年の象徴として歴史に刻まれるだろう(Photo by gettyimages)

日韓関係にみられたように、歴史認識問題は国家安全保障の領域へと波及するようになり、白人至上主義はBLM(ブラック・ライブズ・マター)といったさらなるアイデンティティ政治を呼び込むようになっている。

もっとも今回講談社現代新書から刊行される『アフター・リベラル』は、数多見られる、いわゆる「リベラル批判」の本ではない。それは、思想的にも、歴史的にも、元来は弱者のものだったリベラリズムが、どこでどのような不整合を来したのかを検証し、その回復の道を探るものだ。リベラリズムの自己反省があってこそ、変転する政治の対立軸は幾ばくかの均衡を取り戻すに違いないのだから。