〔PHOTO〕Gettyimages

竹中平蔵と小池百合子、メディアによって作られた「二人の怪物」

佐々木実×石井妙子対談

小池百合子東京都知事の「人生の虚実」に鮮烈に切り込み、今年5月に発売されるやいなや20万部のベストセラーになったノンフィクション『女帝 小池百合子』(文藝春秋社)。

その著者である石井妙子氏と、経済学者・竹中平蔵氏の知られざる素顔に迫った2013年の傑作評伝『市場と権力』(講談社、9月15日に『竹中平蔵 市場と権力』として文庫版が刊行)の著者である佐々木実氏が対談を行った。

2010年代、2020年代をそれぞれ代表する政治ノンフィクションがテーマとしているのは、小池百合子と竹中平蔵という一見あまり似ていない二人である。だがお互いの著作を読み込んだ作家の対論からは、この二人の人生に驚くほど多くの共通点があることが見えてきた。

【構成】古川琢也

〔PHOTO〕岡田康且

【前編はこちらから】

重なる生い立ち

石井 小池さんが強力な上昇志向を持った理由に関しては、調べていく過程で幼少期の影響がとても大きいと感じました。

彼女が育った神戸の芦屋という場所は、ごく狭い範囲に極端な形で格差が顕在化しているところです。小池さんの実家はごく普通の家なのですが、すぐ近くの別の区画には、美術館と見紛うような豪邸が立ち並んでいる。芦屋の中でも格差の激しい地域だと感じました。現地を歩き、ゆかりの方々に話を聞く中で、彼女の幼少期が容易なものではなかったことを実感しました。

小池氏(2016年)〔PHOTO〕Gettyimages
 

裕福なエリアへの憧れが人一倍強く、外国人と交流があるようなお金持ちの同級生の家に積極的に遊びに行き、その家で英語を教えてもらったりもしている。

つまり自分の家庭に不満をもつ一方で憧れの対象もごく身近なところにあるという落差の大きい環境が、理想の家庭環境を求める強い気持ちだけでなく、それを手に入れるために実際に行動する力も小池さんに与えたのではないかと私は感じているのですが、佐々木さんの本を通じて竹中さんについても似たものを感じました。竹中さんは和歌山県の出身でしたよね?