3:産婦人科医の言葉による痛み

最後に、日本で何人かの産婦人科医にかかって感じたことについてお話ししたい。

NYにいたときは、避妊注射を受けに行くついでに、定期的にエイズや性感染症の検査、子宮検診や乳がん検診を受けていた。結婚前も結婚後もそのルーチンは同じ。アメリカに住む40代や50代にはエイズの恐怖が染み付いている人が多く、パートナーのあるなしにかかわらず、性的活動がある限り、半年毎にエイズと性感染症の検査をする習慣があるのだ。パートナーを疑う理由がなくとも、万一のために検査をしたいという心理からくる。

私が最後に性感染症の検査をしたのはNYで妊娠した13年前だったので、先日、子宮検診でかかりつけの産婦人科医を訪れた際にエイズと性病検査を希望した。すると、産婦人科医は侮蔑のこもった表情でこう言ったのだ。

「何でですか?」

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まさかの問いに絶句した。アメリカで産婦人科医が同じ質問をしたら、「なぜそんな立ち入ったことを聞くのか」と問題視されるだろう。アラフィフの既婚女性が検査を受けることがよほど不可解だったのだろうか。それとも、不特定多数とセックスしている人か、コンドーム無しの不用意なセックスをしている人のように見られたのだろうか。

もし仮にそうだったとしても、批判的な表情をしている医師に素直に打ち明けられないだろう。NYで避妊注射を受けていた医療センターでは、医師以外にもカウンセラーがおり、あらゆる人種とジェンダーが揃えられていた。医師の診察前後に時間を設けて、「何か心配ごとはありますか?」と親身になって聞いてくれる。医師も非常にフランクで、決して「お医者様」的な態度はとらない。