ジャーナリスト島沢優子さんの連載「子育てアップデート~子どもを伸ばす親の条件」。親の事業を子どもが継いだのではなく、子どもが30歳で起業する際に母親をビジネスパートナーに選び、5年でコロナ禍にもかかわらず業績を伸ばしている会社がある。それが、昨日別の記事でお伝えした、仲本千津さんと母親の律枝さんの会社「RICCI EVERYDAY」だ。しかも、律枝さんはずっと専業主婦だったという。母と娘で「ビジネスをともにする」のは果たしてうまくいくものなのか。律枝さんならではの仕事がビジネスを成功に導いた例を取材。この母娘ビジネス成功の理由を紐解いてみよう。

単なる仲良しではなく「対等に協働」

植物をモチーフにした大胆なデザインとビビッドな色合い。大地のパワーを感じさせるアフリカンプリントで作られたバッグが注目を集める「RICCI EVERYDAY」(リッチー・エブリデイ)。アフリカはウガンダのシングルマザーを中心とした女性たちの手作りだ。

銀行員から転身して起業した仲本千津さん(35)は5年前、女性たちの生活水準を向上させ、人生を支援するソーシャルビジネスをスタートさせた。コロナ禍でも右肩上がりの業績を見事にキープ。アジアや北米への海外進出を目論む若き起業家の右腕は、実の母親で共同代表でもある律枝さん(63)だ。

代々続く親の会社を子が引き継ぐパターンはよくあることだが、子の事業を親がサポートするのは令和ならではか。
単なる仲良し母娘ではなく、限りなく対等に協働できる。専業主婦から、そんなビジネスパートナーになった「かあちゃん」の極意とは。

「RICCI EVERYDAY」代官山の直営店にて 撮影/島沢優子

千津さんは、コロナ感染が日本で深刻化する直前の3月にウガンダから所用で帰国。ウガンダの工房には信頼して任せられる現地スタッフがいるそうで、日本から連絡を取りながら業務を進めている。
「ウガンダへの便が飛べば早く行きたいのですが、状況次第でしょうか」
千津さんがそう話すと、律枝さんはこう言った。
「もう、早くウガンダに行きなさいよ!って、毎日言ってるんです。向こうの女性たちがどうしているのかと心配で、心配で」
新型コロナウィルスの世界的パンデミックのなか、仕事とはいえ、わが子の渡航を止める親のほうが多いに違いない。

「新しいデザインが少しでも遅れていると、早くウガンダに行ったほうがいい!ってうるさくて。家ではかあちゃんと呼びますが、会社では完全に仕事仲間ですね」と千津さんは説明する。