大手都銀に就職、信念に疑問

大学、大学院と、アフリカの貧困や社会課題の研究を積んだ。大手都銀に勤務するも、常にアフリカへの思いを胸の中に折りたたんでいた。
「エース級が集まる部署だったのですが、結構浮いていたと思う。ルールも覚えられないというか、そのルール自体何のために?って覚えることに抵抗があったのかもしれません。とにかくダメダメな銀行員でした」

雨の日に傘を閉じて、晴れの日に傘を広げる。

人気ドラマ『半沢直樹』で半沢が口にした「銀行の手のひら返し」を揶揄した言葉だが、銀行が社会経済で大きな役割を担うのも事実だ。葛藤しつつも、心はアフリカに飛んだ。

「30歳までにはアフリカで起業しよう、自分で団体を立ち上げようと考えていました。毎週スタバでコーヒー一杯で6時間とか、延々と事業計画を考えるのが唯一の楽しみでした」

これからの銀行には、君のような人材も大切なんだが。
上司にそう言われ、3か月ほど引き留められるも退職。金曜日まで勤めて、翌週の月曜には転職先で働いていた。

行動力、リーダーシップ、慈愛の精神、先見の明。これまでの人生で養ってきたすべてを、ウガンダという「若い国」の可能性に賭ける。そのためにRICCI EVERYDAYをアジアや北米、オーストラリアなどへと世界進出させることが夢だ。

その一方でコロナをきっかけに日本の社会課題へも目が向けられている。
「日本でもDVが増えていると聞きます。被害から離れなくてはいけないシングルマザーの力になりたい」。
実は、10月のアケロボックスのギフトはアフリカンプリントを使った布マスク。これを日本で制作することにした。ひとり親世帯やDV被害に遭った方、過疎化による就職難に困っている方など、様々な境遇に遭った人をサポートする各種団体と連携して行うという。
「持っているスキルを使って価値を生み出せるきっかけ作りをしたい」
雨に濡れる人に、傘を広げ続ける。

利益を出す「だけ」ではない。誰と、どこで、どのように生産して利益を出すのか。どんな人たちの能力を活かしていくのか。仲本さんの「ビジネス」には「利益のみ」という言葉はない 撮影/島沢優子