従業員の8割がシングルマザー

8月下旬に設立5周年を迎えた。
「5年間、もう駆け抜けてきた感じで、日々の記憶がないほどです。あっという間に終わってしまった。良くやってこれたなあというのが実感です」と額に手をやる。何しろ、3年もたないスタートアップも珍しくないのだから。

首都カンパラで、3人のウガンダ人女性と始めた工房も、今では21人のスタッフを抱えるまでになった。1名の男性を除いて全員女性。8割以上がシングルマザーだ。ウガンダは一夫多妻の習慣が残っているため、夫は複数の家を行き来する。ある日夫が帰ってこなくなり、ひとりで子育てをするケースが多いことが背景の一つにある。加えて、2000年代までおよそ20年ものあいだ内戦が続いたとあって、スタッフには内戦被害に遭った女性もいる。それぞれが壮絶な過去を持つ。

4月頭から5月頭まで、ウガンダ政府は感染拡大を抑えるためロックダウンを決めた。現地企業のほとんどが従業員を解雇したが、仲本さんはそうしなかった。「彼女たちがせっかく得た技術を手放すわけにはいきません」と強い覚悟をにじませる。

千津さんが惚れ込んだアフリカン・プリント。彼女たちの技術をきちんと活かしたいという思いで、コロナ禍も雇用を続けた 写真提供/仲本千津

雇用の継続はもちろんのこと、事業をさらに拡大することが彼女たちを守ることになる。
Global Entrepreneurship Monitorの調査(2018年)によると、アフリカの起業件数は世界でトップレベルにあり、5カ国が世界トップ10にランクインしている。そのように急激な経済成長を遂げてはいるものの、一人当たりの所得増加が急速な人口増加に追いついてはいない。小規模零細企業が中心であることや、ウガンダが18歳以下が全人口の半分を占めるようにアフリカ全体が「大人の少ない国」であることも影響している。

2018年に発表された世界銀行の調査では、アフリカのほとんどの国で貧困率は低下しているものの、極度な貧困の人口は1980年当時より増加。実に2億人以上が1日1.25ドル未満、つまり100円玉一個で生活している状態だという。