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JR東日本の「終電繰り上げ」で、東京の「国際都市化」が遅れる理由

都や国の方針にも逆行している

東京の「夜が早く」なる

JR東日本が今月3日に終電時刻の繰り上げを発表した。実施予定は来春。東京100km圏の各路線をおもな対象として終電時刻を30分程度繰り上げ、終着駅の到着時刻をおおむね1時ごろにする。もし今後この動きに東京圏の他の鉄道事業者が同調し、終電時刻の繰り上げを実施すれば、東京の夜は「早く」なる。

一方、国や東京都は、東京の夜を「遅く」することを目指していた。他国の時差に合わせて24時間活動しやすいビジネス環境を整えることで、外国企業を誘致し、東京の国際競争力を高めようとしていたのだ。

終電繰り上げによる「夜の街」への影響は深刻だ/photo by gettyimages
 

両者の向かう方向は真逆だ。果たして東京の夜は今後どうなるのだろうか。結論から言うと、今のような状況が続き、終電をさらに早めなければならないようであれば、遅い時間のビジネスが成立しにくくなり、東京の夜は必然的に「早く」ならざるを得なくなる。今回はその理由に触れながら、終電繰り上げについて考えてみよう。

まずはJR東日本の立場から考えてみる。同社が抱える労働者不足は深刻だ。今月3日に公表された資料(JR東日本ニュース)によると、人口減少にともない、過去10年で建設業就業者数は約1割、同社管内の線路保守作業員は約2割減少しており、今後10年も1〜2割の作業員が減少すると見込まれている。

その一方で、工事の量は過去10年で約1割増加している。老朽化した設備が増え、最新設備を導入する必要に迫られたためだ。つまり、鉄道工事を支える労働者は減っているのに、工事量増え、労働者1人あたりの負担が増えているのが現状だ。

もし深夜の作業時間を増やすことができれば、労働者の負担を減らすことができるが、それは容易ではない。そもそも鉄道は公共性がきわめて高い交通機関なので、鉄道会社の都合だけで営業時間を短縮すると、社会全体に大きな影響を及ぼしてしまう。

そのためか、JR東日本は国鉄時代の終電・初電時刻をほぼ踏襲してきた。実際に半世紀前の時刻表を見ると、東京で「国電」と呼ばれた路線(山手線や京浜東北線など)では、現在と同様に、深夜1時ごろまで列車が走っていたことが確認できる。