持続可能な店を作る10のアイデア

スタッフは経験不問で採用

パン工房のスタッフは経験不問で採用し、「ブリコラージュ」のパン部門を監修する、大阪のブーランジェリー「ル・シュクレクール」の岩永歩さんの下で2ヵ月みっちりと研修をしてもらった。意欲さえあれば、誰もが新しい仕事にチャレンジできるのが健全な社会。飲食業界のルールや価値観に縛られないスタッフが集まることで、職場環境にも自ずと多様性が生まれる。

制服は白いエプロンのみ

スタッフが身につける制服は白いエプロン一枚。その他は飲食店にふさわしいものというルールで各自が準備する。与えられた制服を身につけることは、時に別人格を生み出してしまう、と生江さん。非日常を楽しむレストランなどではいいが、ベーカリーやカフェは日常の延長にある場所。スタッフを店の型にはめず、ありのままの個を生かして働いてもらうための工夫。

フードロスを出さない全粒粉

パンに使用するのはすべて国産小麦。それも、できるだけ全粒粉にこだわっている。全粒粉とは、小麦の表面を削らずに、表皮から胚芽、胚乳まですべてを粉にしたもの。だからフードロスが出ない。人間が都合よく切り取るのではなく、食材つまり命を、できるだけ無駄にせずに味わいたい、と生江さん。小麦粉は主に北海道産。パン職人の岩永さんと生産者を訪ねて探したもの。

生ごみ処理機で可燃ごみを削減

厨房には業務用の生ごみ処理機が。これは生江さんがエグゼクティブシェフを務めるレストラン〈レフェルヴェソンス〉でも使っているもの。バクテリアの力で生ごみを分解し、安全な形にして下水流に流すことにより、店から出る可燃ゴミを削減。焼却炉で燃やされないのでCO2を約96%カットできる。日々のごみの量を可視化することで、スタッフの意識改善にもつながる。

最後の一滴まで掬える
オリジナルのスプーン

一本一本、手打ちで仕上げたオリジナルのカトラリー。三重の松阪に工房を構える鍛冶職人・赤畠大徳さんに作ってもらったものだ。生江さんがオーダーしたのは、韓国のスッカラをイメージしたスプーン。しかも、右利き用と左利き用をお願いした。理由は、利き手用のカトラリーだと、スープを最後まで綺麗に掬えるから。これもまた、フードロスを出さないためのもの。

未完成の有田焼をカフェの皿に

カフェの皿は、鮮やかな藍が目を引く有田焼。だが、中には絵付けが途中で終わっているものもある。この未完成の皿は、生江さんが有田焼の工房を訪ねた際に、工房の裏手に放置されているのを見つけたもの。磁器は粉砕して再利用できるが、大きな工房となるとリサイクル率は60%程度だと聞き、ならばとカフェで使うことにした。資源の有用性を考えた選択。