新型コロナの影響で注目を集めている「マッチングアプリ」。スマホ一つで新たな出会いを探せるため、婚活の主流となりつつあります。

FRaU webでは、実際の取材に基づいた「アプリ婚活」のリアルを、共著作家の山本理沙さんと安本由佳さんによってノンフィクション小説としてお届け。アプリの「モテ技」テクニックも満載です。

主人公はコロナ禍で孤独を極め、本気でアプリを始めたアラサー男女。「結婚とは」「幸せとは」について見つめ直していく本連載もいよいよクライマックス。果たして二人はベストパートナーにたどり着けるのでしょうか?

【これまでのあらすじ】
同期に勧められアプリに登録した工藤直彦だが、なぜかまったくモテない。苦戦の中、留美とのデートにこぎつけるも余計な一言で大失敗。アプリの女王・さくらとは音信不通、おっぱい釣り女に暴言を吐かれ、Twitter婚活垢で晒されるなど散々な目に。ようやく条件ぴったりの女性・百合出会うが、恐怖の待ち伏せ攻撃に遭うのだった。
これまでの連載「本気でアプリを始めたら」を読みたい方はこちら

アプリで条件完璧の彼女ができたが…

――ああ、疲れた……。

ワイシャツ姿のまま、直彦は力なくソファに倒れ込んだ。リビングのすぐ隣にある寝室では百合が小さな寝息を立てている。

本当ならば今ごろ、留美と並んでカウンターフレンチにいるはずだった。

しかし仕事を終え、意気揚々と待ち合わせに向かおうとしたとき、百合から『家の前で待ってる』とLINEが届いたのだ。

具合が悪いというのを放ってもおけず仕方なく自宅に戻ると、百合は宣言どおりマンション前に座り込んでいた。

実際、彼女の顔は色白を通り越して青白い。抱きかかえるようにして部屋に連れ帰り、楽なほうが良いだろうと着替えのTシャツを渡し、ベッドに寝かせ、ドラッグストアで買ってきた痛み止めを飲ませてあげて……ようやくさっき落ち着いたところだ。

――はぁ、なんでこんな目に……。

百合に聞こえぬよう小さくため息を吐く。そしてその瞬間、直彦は重要なことに気がついてしまった。