エリート弁護士。凛々しい顔立ち。なのに…

翌日、留美は少し前にマッチングした新規の男に会うべく飯倉に向かっていた。

一人の時間を持て余しても気持ちが沈んでしまうため、とにかく婚活に精を出すことに決めたのだ。

直彦のことはなるべく考えないようにしているが、アプリやLINEの通知が届くたび、ひょっとすると彼の連絡ではないかと淡い期待を抱いてしまう。

一体、いつの間に直彦の存在がここまで大きくなったのだろう。

噛み合わない会話、空気の読めない態度、留美を苛立たせる余計な一言……。

顔以外は留美の理想とするスマートな男には程遠いのに、アプリで出会い、何だかんだと定期的に連絡を取り続けていた男は直彦だけだ。

――逃した魚は、大きかったのかな。

けれど留美は気持ちを切り替え、指定されたカフェの前で男を待った。

今日会うのは大手事務所勤務の同い年の弁護士で、しばらくの間メッセージのやりとりを続けていた。

これまでの失敗を踏まえ、結婚願望の有無は確認しているし、騙され防止策として事前にフルネームも聞いた。本名をググったりFacebookで検索すれば、大体の男は身元が分かるからだ。

聞き出した『中村知之』という名前を検索にかけたところ、すんなりと弁護士事務所のHPが表示された。こうして身元が分かれば、以前のように食い逃げ<vol.リンク>をされる心配もない。

そのHPには、なかなか凛々しい顔立ちをしたスーツ姿の男が写っていた。

直彦のことでまだ落ち込んではいたものの、留美の胸にわずかな期待が芽生える。年収は2000万円〜3000万円の「証明済み」になっていたし、きっと悪い男ではないはずだ。

「留美さん?」

背後から名前を呼ばれ、振り返る。

そこには写真の通り凛々しい顔立ちをした、しかしながら、酷くピチピチの真っ白なTシャツを着た男が満面の笑みを浮かべていた。