SDGsはグローバルな共通目標だけれど、国や地域によって課題は違います。それは経済的、社会的な格差だけでなく、伝統、文化、風土といった暮らしの環境にも影響されるもの。日本にフィットする持続可能な社会とは? 日本人の私たちができることは?

今回、お話を伺ったのは、10代から世界の社会課題に向き合ってきた酒本麻衣さん。今、日本の小さな村で考えていることと、伝えたいこととは?

支援ではなく「出会いたい」。
すべてはその想いから始まった。

化粧を通して女性の尊厳を取り戻すきっかけづくりを行った「Coffret Project」。鏡を見て喜ぶ女性たちの姿がパワーをくれた。

酒本麻衣さんの活動をひとことで表すのは難しい。「Coffret Project(コフレ・プロジェクト)」ではネパールをはじめトルコ、インドネシアなどで化粧ワークショップを開催。

貧困などに苦しむ女性たちの自信と尊厳を取り戻すきっかけづくりを行ってきた。また、ネパール産オーガニックスキンケアブランド「Lalitpur(ラリトプール)」をスタート。人身売買被害女性たちの雇用創出と自立のサポートにも取り組んできた。

「日本ではまだ女性の起業家が少なかったこともあって、メディアの取材をたくさん受けました。多くの場合、『社会起業家』と紹介されましたが、内心では違和感がありました」

17歳で初めて訪れたネパール。あるときはお化粧を通して、あるときはオーガニックコスメづくりを通して、現地の女性たちと一緒に自立の道を探してきた。

酒本さんが初めてネパールを訪れたのは17歳。きっかけはネパールで女性の識字教育などを行っていた高津亮平氏の講演だった。

「ステージに上がった高津さんは、突然テーブルをコツ、コツとノックし始めたんです。ノックは3秒に1回。世界には食べるものがなくて死んでしまう子供が3秒にひとりいるのだと教えてくれました。それを聞いて、体が強く反応したことを鮮明に覚えています」

「とにかくネパールに行きたい」。その一心でアルバイトをし、旅費を貯めた。初めて訪れた国の空気や匂い、人々や食べ物、風景。全てが眩しく新鮮で、「世界には一生かけても見ることができない風景が広がっていて、それらはとても美しい」と思った。

そのとき感じた心のふるえは、酒本さんのその後の活動を支え、本人の言葉を借りるなら、「ほとんど私が生きていくことの理由」になった。