竹中平蔵氏、中国社会でひそかに「大人気」になっていた

日中で共鳴する新自由主義の行方(1)
梶谷 懐 プロフィール

一方で、このようなスマートシティの導入に当たっては、政府による個人情報の大規模な収集が不可欠になることから、プライバシーが十分に保護されない「監視社会」化を招くのではないかという批判も生じている。特に、上記の杭州市のような中国のスマートシティには強権的な国家による「監視社会」に対する懸念がどうしてもつきまとうことになる。

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さて、中国経済を専門とする筆者が、なぜスーパーシティ構想に興味をひかれたのか。そのきっかけは、この法案の参議院の審議過程で、日本共産党の大門実紀史議員が、「日本を中国のような監視社会に導き、個人のプライバシーと権利を侵害する重大な危険性がある」とし、法案に強く反対したことを知ったことである。大門議員の反対討論では、昨年9月に出版した拙著『幸福な監視国家・中国』も引用されていた、と聞く。

大門議員は、法案について次のように指摘している(「スーパーシティ法案 大門議員の反対討論(要旨)」『しんぶん赤旗』2020年5月29日、2020年9月6日アクセス)。

反対の最大の理由は、日本を中国のような「監視社会」に導き、個人のプライバシーと権利を侵害する重大な危険性があるからです」とし、中国では「政府・大企業が膨大なデータを分析し、国民への監視や統治に活用して、ウイグル族弾圧や民主化を求める活動家の拘束にも監視カメラや顔認証技術が用いられてきました。政府がスーパーシティ構想のお手本としてきた杭州市は、街全体のIT化が世界で一番進んでいますが、裏を返せば、街中に監視カメラが数千台もあるなど監視社会の最先端です。

これまで、政府が進めようとする規制緩和や都市開発の構想に対して、野党の政治家や政府に批判的なメディアが「アメリカの真似をするな」と批判を行うという現象はしばしば見られた。しかし、このスーパーシティ構想のように、自民党政権が進めようとするプロジェクトに対し、左派政党の政治家が「中国の真似をするな」という理由で強く反対する、という現象はこれまで見られなかったものである。この現象をどのように考えればよいだろうか。