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中国で懲役15年の服役を紙面上で済ませ、刑期満了で釈放された男の話

何でもアリ、中国司法のあきれた実態

事件の顛末

中国の内モンゴル自治区で、故意殺人の罪を犯した男が、懲役15年の判決を受けたにもかかわらず、ただの1日も刑務所に収監されぬままに刑期満了で釈放された。

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それだけでなく、その後は中国共産党への入党を許されたばかりか「嗄査達(村主任)」に当選し、さらには「旗(モンゴル族居住区の行政区分で「県」に相当)の人民代表大会代表(県会議員に相当)に選出されていたという事実が明るみに出た。

これは中国共産党の代弁出版物で月2回(10日と25日)発行される雑誌『半月談』の2020年第16期(9月3日発行)に掲載された『紙面服役15年、真相が暴かれる』と題する記事が報じた実話である。「紙面服役」とは半月談が作った造語だと思うが、「書面上だけの服役」という意味である。

内モンゴル自治区の北東部に位置するフルンボイル盟(現・フルンボイル市)所在の中級人民法院が発行した1993年6月9日付の刑事事件判決書に下記の内容が記されている。

1992年5月12日午後8時頃、口論の末に17歳の巴図孟和(バトムンフ)が18歳の白永春を刃物で3回刺した。バトムンフは白永春を病院へ送り届けてから公安局の派出所へ自首したが、白永春は心臓破裂による大量出血で死亡した。

 

フルンボイル盟中級人民法院が被告人のバトムンフに下した判決は、故意殺人罪により懲役15年、政治的権利の剥奪2年であった。法定期限の10日以内に被告人の上訴も検察側の控訴も行われなかったので、当該判決は確定して有効になった。