著者がアフリカ・ケニアの首都ナイロビに開いたレストラン、シェ・ラミ(友だちの家)の前で。シェ・ラミは客席30席の本店のほかに40席の新店舗を作り、さらにバーレストランも建て増しするほど大繁盛した。

「包丁一本」で世界を渡り、ケニアでレストランを開いた男の「痛快人生」

「好きな所に行って、好きな仕事をして、風の吹くままに生きてみたい」――。そう思うことはないだろうか。とくに新型コロナウイルスの影響で自由に出かけられなくなった今日ではなおさらだ。

先の見えた人生を歩むより、毎日が新鮮な驚きに満ちた毎日を過ごすのだ。しかし、そう願ってみても、なかなか実行できないものである。

ところが、そんな人生を歩んだ男がいる。

 

「広い世界を見てみたい」という想いだけを抱いて日本を飛び出し、40余年。料理人の腕一つで仕事を得ながらヨーロッパからアフリカを巡り、ケニア女性と結婚して広大な料理店を構え、大統領から末はスパイまでのアヤシゲな注文に応じて腕を振るった。

大胆不敵、無謀、無計画! だけど、いつだって底抜けに明るい。毎日起こる奇想天外なデキゴトが面白くって仕方がない。そんな男の生きざまを描いた本が出版された。その内容を少しばかり覗いてみよう。

(構成/高木 香織

無国籍料理店、いざオープン

アフリカの広い空が、私を旅に誘うのである。

24歳で日本を飛び出してから30年、ヨーロッパやアフリカのいろんな国で料理の腕を振るってきた。面白そうな国があると、行ってみたくなる。その国で働きながらできた人々とのご縁が、さらに次の国へと旅立たせる。

やがて店を構えたのが、ケニアのナイロビだった。そこで私は結婚し、子どもも持った。しかし、私の旅はまだ終わっていないーー。