【データで解説】「半沢直樹」が最終回で視聴率30%を狙えるこれだけの理由

なぜラストスパート点火に成功したのか
鈴木 祐司 プロフィール

視聴者が固唾を飲んだシーンは…

これらハイテンポでハイボルテージの演出は、タイトルバックとCM後、よりパワーアップする。平均流出率が0.035%を切るような、大勢が固唾を飲んだシーンを列挙しよう。

20分頃には、半沢たちが見つけた不正融資ファイルを、紀本常務が取り上げようとするが、間一髪でタブレット福山(山田純大)に救われる。26分以降では、紀本や中野渡頭取らが自殺した牧野元副頭取の部下であることが判明する。32分以降は、大和田が紀本にモノを頼む際の言い方で攻め込む。そして決定的な証拠となるクレジットファイルの攻防が始まり、紀本が牧野の秘書だった智美(井川遥)を尋ねる。CM明けの38分頃は、半沢らが紀本を罠にハメる。そして「銀行には時効はない」と、バンカーとしての掟を説く。

この一連の冒頭、紀本が半沢に出くわした際の驚愕した表情が、8話で最も流出率が低い瞬間となった。

 

ところが半沢が勝利したと視聴者が思った瞬間、大どんでん返しが始まった。

箕部幹事長に大和田と半沢が呼び出され、牧野元副頭取の口座資料で沈黙させられる。「私の勘違いでした」と、半沢は完膚なきまでに叩きのめされてしまったのである。この4分強の顔芸対決シーンの平均流出率は、なんと0.03%となった。第8話の最長不倒記録だ。

しかも半沢の敗北に追い打ちをかけるシーンがもう一つ。これまで競い合ってきた金融庁の黒崎が、箕部幹事長により飛ばされたのだ。最後の言葉を交わす二人。

「あなたのことなんか大っ嫌い」
「だから最後まで私が大っ嫌いなあなたでいて頂戴」

こう言い残した黒崎に、深々と頭を下げる半沢。この2分ほどのシーンも、流出率は0.03強。秀逸のシーン続きで第8話は締めくくられたのである。