【データで解説】「半沢直樹」が最終回で視聴率30%を狙えるこれだけの理由

なぜラストスパート点火に成功したのか
鈴木 祐司 プロフィール

急展開の連続が流出を阻む

テレビ番組の出来の目安となる指標の一つに流出率がある。途中で飽きて、他局に切り替えるか、テレビを消してしまう状況を数値化したものだ。初回から第8話までの序盤部分を、流出率で比べると8話の傑出ぶりが浮かび上がる。

接触率の上昇が緩やかだった当初の第3話までは、実は流出率が高いままだった。他局からの流入率には大きな差がないので、流出率の高さが接触率上昇を鈍くする要因だったのだ。

 

ところが第4話以降、流出率は低いままとなる。各話の物語が冒頭から急展開の連続となり、視聴者に流出する余地を与えなくなったようだ。

その中にあって第8話は、特に濃密な序盤だった。

オープニングから元副頭取・牧野(山本亨)の自殺シーン。中野渡頭取(北小路欣也)と新進党幹事長・箕部(柄本明)の密談。半沢(堺雅人)と渡真利(及川光博)の相談。そして東京中央銀行役員会で、紀本常務(段田安則)に退陣を迫る大和田(香川照之)と、逆襲する紀本。

ここまでの一山に続き、タスクホース案など諸々あった後に、待ってましたとばかりに金融庁の黒崎(片岡愛之助)が半沢を呼びつけ、箕部幹事長の関与を示唆する。これをきっかけに合併前の不正問題が炙り出され、2013年から因縁の間柄だった大和田と半沢が、歴史的な和解ともいうべき共闘に至る。

しかも7話の「お~ね~が~い~し~ま~す」シーンを下敷きにした、大和田の「おねしゃす」というアドリブまで飛び出す。

つまり第8話はタイトルまでの14分ほどに、オールスターのオンパレード。しかも注目のシーンがテンポよく次々と飛び出したのである。流出率が落ち着く9時3分から9時13分までを比較すると、8話の15秒毎の平均流出率は唯一0.05%を下回り、この間に接触率を0.8%と、今シリーズで最も押し上げたのである。