菅首相誕生の「きな臭さ」と想像以上にヤバい「河井夫妻」の悲しき末路

なぜ「熟慮に熟慮を重ねる」前に動いたのか
近藤 駿介 プロフィール

菅氏でなければいけなかった「事情」

総裁選においては、安倍前総理周辺が「絶対に石破氏だけは後継者にさせない」という強い意向を持っていることが繰り返し報道された。

しかし、安倍前総理退陣表明をした直後、菅新総裁が他の候補者の出馬表明を待たず、「熟慮に熟慮を重ねる」時間を置かずに迅速に動いたことや、安倍前総理が岸田氏の支援要請をにべもなく断ったことなどを考え合わせると、実際には官邸サイドに「石破氏にも岸田氏にも総理の座は渡さない」という強い「意志」、或いは「渡せない事情」があったと考えた方が自然だろう。

この推測が当たらずといえども遠からずだとしたら、その「事情」とは何だろうか。考えられることは「河井克行元法務大臣」にまつわる資金疑惑である。

 

菅新総裁誕生のニュースに掻き消された格好になっているが、2019年7月の参院選における公職選挙法違反に問われている河井克行被告は、菅新総裁誕生にタイミングを合わせるかのように15日に弁護人6人全員を解任した。

河井克行被告とその妻案里被告にかけられている公職選挙法違反は、昨年7月の参院選で自民党本部から「広報費」名目で河井克行・案里両被告に支払われた1億5000万円が買収資金に使われたのではないかというものである。

案里被告が立候補した定員2の広島2区は、野党系の議員と自民党の溝手議員が議席を分け合っていた。そこに「党勢拡大」「2議席独占」という名目で安倍前総理や菅前官房長官らから強い支援を受けて立候補したのが案里被告であった。その結果自民党票は割れ、自民党本部の思惑通りに「2議席独占」とはならず、案里被告が当選し、溝手議員は落選することになった。

問題は、両候補の明暗を分けた理由が、安倍前総理や菅前官房長官が応援に入ったことではなく、自民党本部から両陣営に渡った資金の規模の差にあった可能性があることだ。

河井陣営に渡った資金は1億5000万円と、溝手議員に渡された資金の10倍の規模だった。この巨額の資金が買収資金に使われ案里被告は当選、その煽りを受けた溝手議員は落選の憂き目にあった可能性が否定できないのだ。

河井陣営から地元議員と首長40人を含む94人に対して総額は1680万円の現金が配られたことが効いたのか、有権者234万6879人の選挙区で案里被告は2万5000票強の差で現職だった溝手候補を破り当選することになった。ここで押さえておかなければならないことは、溝手議員が連続5期当選を果たしてきた岸田派の重鎮議員だったことだ。