アメリカが直面している「文化戦争による分断」の現在地

大統領選におけるトランプ派と宗教保守
藤本 龍児 プロフィール

トランプ派の見方

トランプ派は一連の経緯を、反トランプ派とはかなり異なる形で認識している。
ジョージ・フロイド事件がおこったのは5月25日であるが、トランプ大統領は5月27日にはエアフォースワンのなかで事件の動画を確認し、捜査の指示をだした。しかも、その際には「ジョージの家族と友人に深く同情する。正義がくだされる!」とツイートしている。

5月30日の有人宇宙船打上げの記念式典でも、それを「悲劇的事件」としてとりあげ「平和的に抗議する人びとの権利を支持し、その嘆願を聞きます」とスピーチした。もちろん、反トランプ派であれば、そうした言葉を口先だけのものだと受けとるだろう。

 

だがトランプ大統領は、とくに批難をあびた6月1日の演説でも、同様にフロイド氏とその家族への哀悼を示したあと、次のように述べている。少し長くなるが、なるべくそのまま訳出してみよう。

〈私の政権は、フロイドさんとかれの家族に公正な裁きがくだされるよう全力をつくします。かれの死を無駄にはしません。しかし、頭に血がのぼった群衆によって、道理にかなった訴えや平和的に抗議する人びとが押し流されてしまうようなことを許すわけにはいきません。

(中略)私は、法と秩序を重んじる大統領であり、平和的な抗議をする人びとの協力者です。しかし、ここ数日、この国はプロの無政府主義者や暴力的な群衆、放火犯、略奪者、犯罪者、暴徒、ANTIFAなどによって手玉にとられています。

いくつかの州政府や自治体は、住民を守るために必要な行動をしていません。テキサス州ダラスでは若者が道に放置されて亡くなり、ニューヨーク州北部では女性が暴漢にひどいめにあわされました。そのように罪のない人びとが残酷な仕打ちをうけているのです。

小さな事業を営んでいる人びとの夢が、手ひどく打ち砕かれています。ニューヨーク市の警官の顔は、レンガで殴打されています。勇気をもってコロナウイルスと闘ってきた看護師も、外出することを恐れています。

地域の警察署は蹂躙され、この首都ワシントンD.C.では、リンカーン記念堂と第二次世界大戦の記念碑が荒らし回されました。この国で最も歴史のある教会の一つも燃やされました。カリフォルニアでは、法をとりおこなう英雄であった黒人の連邦警察官が銃で撃たれ、殺されました。

こうした行為は、平和的な抗議活動ではありません。これらは国内におけるテロ行為です。罪のない人びとの生活を破壊することや血を流すことは、人類に対する攻撃であり、神に対する犯罪です〉

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