父親になるのが怖かった男の「乾いた心」を満たしてくれた、子供の力

短期連載「娘と私の成長記録」(3)
仙田 学 プロフィール

言い出せなかった「離婚」のこと

離婚をしてしばらくのあいだ、子どもたちは「また4人で暮らしたい」と繰り返していた。

親が離婚しても、子どもたちにとっては大好きなパパとママであることには変わりがない。でも4人で暮らすことはもうできない。そのことを私は伝えることができなかった。

「本当はサンタクロースなんていないんだよ」と告げるのに似た残酷さを感じたのだ。つまり、もう4人で暮らすことはできないと告げることで、子どもたちが大切にしている夢や希望を潰してしまうことになるのではないかと。

特に長女は5歳で、ある程度の物事がわかる年齢になっていた。だからその話題になるたびに、「難しいね」「パパとママ、一緒にいると喧嘩になるから」などと曖昧な返事ばかりを返していた。

 

ところがこのことをある人に相談したところ、「子どもには何事も嘘をつかず、隠さず、本当のことを伝えたほうがいいですよ」とアドバイスを受けた。

その人にはもう成人したお子さんがいるのだが、その子が小さかった頃の姿が、私の長女に似ているというのだ。

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たしかに、子どもを傷つけないために嘘をついたり隠したりするのは、親のエゴイズムだな、と思った。誤魔化されていたことを後で知れば、そのほうが子どもは傷つくだろうと。

だがなかなか言えなかった。

ようやく口にできたのは、1年半ほど経った頃。ある日、寝る前に長女が「パパとママって離婚したん?」と聞いてきたのだ。

今しかない、と私は思い、「そうや。離婚してん。だから、もう4人では一緒に暮らせない。でも、パパもママも君たちのことが大好きだし、離婚しても会いたいと思ったらいつでもママに会えるよ」と伝えた。

ふたりは私の目をじっと見て頷いた。その日いらい、4人で暮らしたいとは言わなくなった。