9月9日から関東圏で6年ぶりに地上波にて再放送され、他の地域での再放送も徐々に決まりつつあるドラマ『のだめカンタービレ』。2001年から2010年まで「Kiss」で連載された二ノ宮知子さんの大ヒット漫画を「奇跡的に実写化」したと言われたドラマを見返すと、改めて漫画の魅力、ドラマの魅力をそれぞれ感じることができる。再放送を記念した1巻試し読み企画の最終回6回目は、6話に描かれている「天才」「才能」について振り返ってみたい。
文/FRaU編集部
『のだめカンタービレ』は天才集団の話?
主人公は「のだめ」こと野田恵(ドラマでは上野樹里)と千秋真一(玉木宏)。のだめは譜読みはできないけれど耳で一度聴いただけで再現できてしまう天才。千秋はピアニストの父のもと幼少期から欧州で一流の音楽に触れ、ピアノもヴァイオリンも指揮も超一流の能力の持ち主だ。
もちろん音大に入学できるというだけで、音楽の力が秀でているわけだが、その中でも突出した二人と、ヴァイオリン科のエース・三木清良(水川あさみ)のようにすでにウィーンでも名をとどろかせている才能の持ち主が集まったオーケストラ「ライジングスター」の紆余曲折が、今回再放送されている連ドラの柱となっている。漫画では1巻~9巻までに描かれるSオケやライジングスターオーケストラの青春に胸を熱くしつつ、才能を開花させるって素晴らしいと、思わず子どもに音楽を習わせたくなる親も出てくるのではないだろうか。
しかしこのオーケストラ、単に才能に溢れてなんでもひょいひょいとできる「天才集団」では決してないのだ。
一度の失敗で人生は終わらない
1巻6話で、ライジングスターにも加わることになるロックなヴァイオリニスト、峰龍太郎(瑛太)がやけになってこう語るシーンがある。
「だからイヤなんだこの世界……いくらがんばっても千秋のようなふざけた奴がポロっと出て来てやる気を失わさせる」
「どうせオレはヘタクソだよ! 才能なんかねーーーーよ!」
そして千秋本人に思わずこう言うのだ。
「……いいよな 努力しないでも報われる奴は……いうこと大きくて」
しかし、千秋は3歳の時から朝から晩までヴァイオリンもピアノもずーーーっとやってきた。「血ヘド出るくらい厳しい先生だった」らしい。才能やセンスがあっても、練習して練習して練習して、それでようやく人の心を動かす演奏をすることができるのだ。
一見軽々とやっている人たちだって、その陰にはものすごい努力の積み重ねがある。マイケル・ジョーダンがNBAの誰よりも練習量が多かったことは有名な話だし、イチロー選手が45歳まで華々しく現役で活躍した陰には、毎日のかなりストイックなトレーニングがあった。ある程度の才能はあるとしても、超一流として活躍し続けるには、努力を積み重ねていく以外にありえないのだ。
ただ、その練習や努力をするには、メンタルの力が大きく関わってくる。
そこに大きな支えになるのが「仲間」の存在だ。飛行機恐怖症で、才能はあっても海外に行けなくなっている千秋が、「ずっとこの演奏が終わって欲しくない!」とまで思う仲間との出会ったこと。それぞれが力を認め、尊敬しあい、だからこそ自分のやる気を奮い立たせられる。そこにはジェラシーも足の引っ張り合いもない。それぞれの「やる気の伝染」が大きな才能を生み出す感動を、『のだめカンタービレ』で私たちは感じることができるのである。
なんて熱弁をふるったが、「青春爆笑コメディ」の名にふさわしく、感動だけで終わらないのがやっぱり『のだめ』のいい所。是非ともドラマも漫画もまるっと楽しんでいただきたい。
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