クドカン、坂元裕二…男性脚本家の「ジェンダーの描き方」に起きた、確かな変化

フェミニズム的な作品も出てきている
西森 路代 プロフィール

たま子は、以前、飲食サービス会社「ライクダイニングサービス」で働いていたときに、親友であり同僚の藤村五月(菊池亜希子)がセクハラ・パワハラにあって会社を去っていったという経験がある。これに対する抵抗として、「ライクダイニングサービス」が運営するレストラン「シンフォニック表参道」の向かいのビルで「ビストロ フー」というレストランの開業準備を始めるのだった。

藤村が受けたセクハラ・パワハラは主に「ライクダイニングサービス」の社長・雨木太郎(杉本哲太)によるもので、描写はかなり過酷で思わず目を伏せたくなってしまうほどであった。凶悪な権力者に、女性たちが連帯して立ち向かう姿を描くという意味で、フェミニズム的な要素をもった作品である。

『マッドマックス』に通じる

少し話がドラマから外れるが、この作品は、同年に公開された映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に通じる要素が多いことも指摘しておきたい。

 

『怒りのデスロード』は、独裁的な男性首領イモータン・ジョーが支配する国を舞台とした作品だ。同作は、女性であるフュリオサ大隊長が、イモータン・ジョーのもとで囚われの身となり子供を産まされている5人の妻たち(ワイブス)を連れ去り、道中で知り合ったマックスや、フュリオサの故郷の“緑の地”に住む「鉄馬の女」たちと協力しながら、ジョーの支配を打破するというストーリーである。主人公のマックスは、フュリオサをサポートする役割を担っている。

女性が連帯して暴力的な男性の支配を打ち破るという意味で、これもやはりフェミニズム的な作品であるという評価が一般的だし、実際にフェミニストの作家、イヴ・エンスラーにアドバイスを求めている。

『問題のあるレストラン』で言えば、さしずめ、ライバル店の社長がイモータン・ジョーで、フュリオサ大隊長が主人公の田中たま子であり、たま子の元に集まる女性やゲイの仲間たちは、ワイブスと鉄馬の女のようである。また、当初はライバル店で働いていた不遜な性格のシェフの門司誠人(東出昌大)は、後にたま子らと協力するようになるため、マックスとみることもできる。

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