別れても続くデブ警察の呪縛。そして今伝えたいこと

しかしその後転職した会社で『気の合う大人たち』と出会い、良い人間関係を築けるようになったことで、自分の中の価値観に変化が起きた。A氏との関係はやっぱりおかしいと感じ、私は21歳頃に彼と別れることが出来た。が、それから何年経っても、彼に信じ込まされた『デブはダメな人間』『ありのままの私はブス』という呪いを解くことは難しかった

それでも私が26歳で摂食障害から脱して自分の体を肯定的に捉えられるようになると、私を肯定的に認めてくれる人たちの声が理解できるようになり、呪いはだんだん解けていった。

昔は『現状を否定し、辛い状況に身を置くことでより良い自分に成長すること』が正しいと思っていたけれど、今は『現状を肯定し、より伸びやかな自分になること』が大事だと思うようになったし、太っていると恋愛が出来ない、という思い込みも払拭された。体型や容姿に関する好みは相手の問題であって、そこで合わなかったからと言って自分を否定してしまうことはないんだと考えられるようになった。

A氏と別れてから数年経ったとき、再び彼に会う機会があった。

彼は当時を振り返って私に謝罪したいと連絡してきたのだ。要約すると「今思うと、あの頃の自分は未熟だった。俺が何をしても君が離れず愛してくれるのかどうか確かめたかった」という話だった。大人になった私から見れば、もはや彼は魅力的な男性ではなくなっていたし、愛情はもちろん、同情する感情も沸かなかった。「俺のこと理解してくれたのは、君だけだった」とも言われたが「ふーん」と言う感じだった。

結局は、あんなに私を振り回した彼こそが、自分への愛情に自信がなかったのだ。
残念ながら、過去のA氏のように人の容姿をけなし、コントロールすることで自分を保とうとする人は世の中に存在する。

しかし少なくとも私は、この記事を読んでくれたあなたが自分の体を愛することを応援している。

もし「太っているからけなされても仕方がない」と思い込んでいるなら、それよりも「私は自分の体を愛していいんだ」という思い込みをしてみて欲しい。そしてわざわざ時間を作って他人の容姿をけなしてくる人は、その人自身の問題なのだと理解した方が良い。あなたの体は、誰かのものではなく、あなたのものなのだから。

顔立ちが違うように、体型だって色々あって当然だ。他者のものさしではなく、自分の体をもっと愛してほしい。photo/iStock
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